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マーケティングの視点を加えれば、モノやサービスは売れる

もっとも、能力と権限との均衡がとれない限り、偉大な将帥も実績において偉大ではありえない。現在のところ、帝国軍の首脳部は、同盟軍のそれといい勝負だった。

それにしてももう少しやりようがありそうなものだ、という気がする。ヤンは戦争が嫌いだと公言しているくせに、戦争の実施レベルで愚行が行われていると、つい口を出してしまうのだ。わが軍の総司令部は、個人的な武勲を集積して、戦術的勝利を手に入れ、戦術的勝利を合算して、戦略的成功を収める気でいるのだろうか。

だとしたら用兵学等必要ないな、とヤンは皮肉っぽく考えた。

(解説)
組織だけに限らず、能力と権限の均衡とは取れたためしがない。その人の能力が正当に評価されることもない。結局のところ、我々一般人は、実績を積み上げて、自分の能力と権限の均衡を目指すように努力していくしかない。それを社会の仕組みのせいにしても始まらない。

自分の能力を過信しているという例も少なくないが、能力に権限が備わり、それを実行に移せて初めて、それ相応の実績と呼ばれるものになる。能力に権限を備える方法は実績だが、その実績の積み上げ方は、どこかの会社に属するという方法もあれば、自ら起業して実績を積み上げていくこともできるだろう。能力が高い人で権限が備わっていないと、権限が備わっているくせに大したことやらない奴に腹が立つ。ヤンもその口である。まあそうは言っても、口を出して、ひっくり返るわけでもない。

さて、ヤンの言うように、組織においても、個人の営業実績が会社の売上を作ると考えている節がある。そのような会社は営業しかやらない。例えば、テレアポをかけてガンガン潜在客の元に通い、ガンガン落としていく。理屈としては、それで売り上げが溜まっていく。しかしそれよりも、末端の営業のストレスの方が溜まっていくだろう。売れないものを売らなければならない。その理由はノルマがあるからだ。

そうではなくて、会社がきちんとマーケティングをして、売れるものを開発し、営業がわざわざプッシュしなくても、売れる仕組みを作る。それが、戦略である。戦略的成功を収めるためには、まずは成功する戦略を会社の幹部連中が考える必要がある。そしてそれを個別に下に落としていき、戦術的成功を上げさせる。大抵の会社は真逆である。あるいはマーケティングと営業が連動していない。だから、末端がいつまでたっても苦労する。効果的な結果が出ないと上が嘆く。全くのアホである。

(教訓)
〇能力と権限を均衡させるためには、小さくても実績を積み上げていくしかない。
〇マーケティングを幹部が考え、営業を部下が行え、マーケティングと営業を連動させよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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