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優れたリーダーは権限ではなく、魅力で人を引き付ける

前線勤務それ自体は、ラインハルトの方から望んだことであった。最初に人事部局から示されたのは、後方勤務、それも軍病院の事務職だったのである。安全であり楽でもあり、ときには役得もある職務だったが、ラインハルトは手ごろな安楽などを願ってはいなかった。
・・・
「幼年学校では成績が良かったようだが、実務は学業のように理論通りにはいかんぞ。まあおいおいわかることだがな」
「はい、肝に銘じておきます」
・・・この程度の、創造性のかけらもない発言で 剛直さと厳格さを装うような上官は、尊敬に値しない。・・・皇帝の寵妃の弟という権威に対抗するに、自分自身の見識や能力ではなく、軍隊組織の権威をもってするような輩に、何が期待できるというのだろう。

(解説)
ラインハルトの姉は、現在の皇帝の元に嫁いだ。寵愛を得ていた姉の弟であるため、安全なところに勤務することはできたのだが、ラインハルトはそれを良しとしなかった。最初の赴任先は、惑星カプチェランカ、そして上司はヘルダー大佐。その上司とラインハルトの会話である。

創造性のかけらもない発言、つまり誰でもいえる発言しかできない経営者とか上司はいる。そんな奴には魅力のかけらもない。経営者とか上司であるという組織上の権威以外で惹きつけられる魅力を持たなければならない。

ときに、有名人が〇〇と言った、と引用するのは良いとして、それが毎日だと、あんたは名言辞書か、と思わなくもない。名言であれば、ググればいくらでも出てくる。優れたリーダーは、他人の言葉も借りない。そして他人によって作られた権威も使わない。ひたすら自分の魅力だけで、人を引き付けることができる。

さて、前段に戻り、ラインハルトはあえて前線勤務を望んだ。軍隊では勝利するという十隻を積み上げることが、早期の昇進につながる。それが帝国を手に入れるという野望を達成するに最も近道であった。それが普通にカネが欲しい、というだけの野望であれば、軍病院の事務局で十分であったろう。どちらが正しいとか間違っているというのは、その人の目的に沿いさえすれば、手段は何でもよいと思う。人生の目的にも優劣はない。まずは自分の目標を設定し、その目標の最短距離のために、現在どのような手段を取るべきかと選択すればよい。それに正解も不正解もない。

目標の最短距離を取れることも、リーダーの資質と言える。

(教訓)
〇優れたリーダーは権威や他人の言葉を使わない。自分の魅力で人を引き付ける。
〇目標の最短距離を取れることも、リーダーの資質の一つである。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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