午後からシェーンコップ准将に白兵戦技を教わる。基本的な三つの手段、素手、戦斧、戦闘用ナイフから、いずれ様々な応用編に進むことになるのだが、
「実際には、ビール瓶とかベルトとかの方が役に立つことが多かったね」
「戦闘にですか?」
「プライベートな戦闘にさ」
ちなみに、これまで会得した技術の中で、どれがもっと役にたったかを訊いてみたら、シェーンコップ准将は即答して、
「それは無論、ハッタリの技術さ。・・・」
(解説)
ハッタリとは、わずかなことを大げさに言ったり、ありもしない物事をあるように見せたりして他人を圧倒することである。嘘やイカサマとは異なる。小さなことを大きく言う。経験したことはないけれど、大成功したかのように話す。それもハッタリと言える。そして、一度受けたら、絶対に成功させること。それができなければ、ハッタリは単なる嘘やイカサマになってしまう。
小さなハッタリぐらいは皆さんやったことがあるのではないだろうか。職務経歴書にやったことのないこと、あるいはやったことはあるけれど、そこまで大きなことではないこと。それでも、書類選考をくぐらなければどうにもならない。そうやってキャリアを脚色していく。これも十分なハッタリだ。入社後、それはやったことありませんではダメだ。やったことのないことでも、やったと言わないとチャンスもめぐってこないのだから、機会を掴むためにハッタリをかますことは悪くはない。但し、できもしないことをできるというのは、ハッタリではなくて、嘘や騙しになる。
言葉に出すと実現する、というのもあるだろう。ソフトバンクの孫さんは、創業時に、1兆円上げることを公言していたそうだ。そのときは、一体この人何言ってんの、と思っただろうが、現実にしている。本当にすごい。これも一種のハッタリだろう。
シェーンコップはユリアンに格闘術を教えるが、いつ番役に立つのはハッタリだ、というのは分からない話でもない。ハッタリは成功のための、一つの技術なのだと言える。
(教訓)
〇実現させれば、ハッタリは機会を得るための手段だ。でも実現できなければ嘘やイカサマになってしまう。
〇ハッタリは成功するための一つの技術。