・・・人間の能力には、発信性のものと受信性のものがあるのだという。発信性のものとは創造力のことで、受信性のものとは記憶、理解、処理能力、それに批評したり鑑賞する能力だそうだ。そういう区分の仕方が全面的に正しいとは限らないけれど、なるほどと言う気がする。
軍隊でいれば、副官に必要なのは受信性の能力だそうだ。・・・ヤン提督個人の能力が、グリーンヒル大尉を通すと、ヤン艦隊全体の能力に増幅するように見える。
(解説)
発信性と受信性と言う区分は、右脳型、左脳型と言う表現もできる。発信性が創造力であり、右脳型。受信性が記憶、理解、処理能力、それに批評したり鑑賞する能力で左脳型である。
左脳型は受験勉強型の能力であって、我々は子供の頃からその能力開発を行っている。創造力の方は、その能力開発を軽視されている。軽視というより無視に近い。もっともどのように開発したらよいかは、開発プログラムも難しいだろうし、点数を付けるのも難しい。そもそも右脳型によって創造されたものは、その評価者の主観でしかないから、本当に優れているかどうかはよくわからない。その道の権威が優れていると思った者が、客観的に優れていると評価される。つまり、ばかばかしいの一言である。
左脳型の能力は、ご存じの通りAI(人工知能)に代替可能なものであり、そのうち、左脳型の人間はAIにオミットされていく。だから今、左脳型で活躍している人材も、右脳の開発に少しでも力を割いた方が身のためだろう。ただ、AIがどの程度で、今の自分の仕事を侵食するかは神のみぞ知るといったところだ。言えることは、お金が儲かる所こそ、早めに浸透しやすいというくらいだ。何故ならば、金が儲かるから、そこに人的・金銭的資源が割かれやすいためだ。
それはさておき、すぐに右脳型と左脳型の訓練は難しいから、組織も右脳型人材を積極的に採用する努力をしてもいいかもしれない。組織従順的な右脳型人材だっているだろう。いわゆる安定収入が欲しい系である。ただ、右脳型人材は組織従順的ではない可能性の方が高い。頭や性格が受験型になっていないためである。それ故、フリーランスと言う形で必要なだけ、組織と関わってもらう、と言う方がマネジメントはしやすい可能性がある。いわゆるクリエイター枠だ。デザインとか音楽だけがクリエイターではない。ビジネスモデルの構築や、マーケッターも右脳型に優れた人材である。組織的には、右脳と左脳のバランスが取れた人間が望ましいだろう。まあ、数はあんまりいないだろうけどね。右脳と左脳を活性化できる人材は、通常人材よりも企画的な仕事であれば、パフォーマンスが高い。もちろん単なる事務屋であれば左脳偏重型の方が良いと思われる。場所に拠りけりである。
(教訓)
〇左脳人材はこの世にあふれているが、右脳人材は乏しい。組織は右脳人材にアクセスすべきである。
〇右脳と左脳のバランスの取れた人間が、組織としてはふさわしい人材である。通常人材よりは企画的な仕事で高いパフォーマンスを期待できる。