無能な上司の存在意義とは>外伝第三巻p.25
「そうお怒りにならなくてもよろしゅうございましょう、ラインハルトさま、無能な上官たちにも、きちんと存在意義があるかもしれません」
「存在意義、あんな奴らに何の存在意義があるというのだ。敵に不当な勝利をむさぼらせるのが、奴らの存在意義だとでも、キルヒアイスは言うのか」
そんなところです。と、キルヒアイスは笑いを含んで答えた。彼らが失ったものをラインハルトが奪りかえす、相対的にラインハルトの立場が強化されるという道理である。
(解説)
無能な上司の存在意義について考えてみよう。何のためにいるのか。
まずは間違いなく反面教師になる。少なからず、こんな上司には死んでもなりたくないと思うものだ。優れた上司と出会うと、このような上司になりたいと模範になるし、勉強にはなるが、メンタル的なハングリー精神がどこかへ行ってしまうだろう。こんな奴になりたくないというのがかえってエネルギーになることがある。
人間、良い上司のやっていることを、列挙しようとすると、おそらく明確にこれがいいという事はそれほど多くないと思う。本当に優秀な人は無形的に優秀なのだ。逆に、悪い上司のやっていることを、列挙しようとすると、マシンガンのようにダメなことを箇条書きできる。それだけ、ダメダメリストが作りやすくて良い。
次に、これはラインハルトとキルヒアイスの考え方であるが、ダメな上司のしでかした結果を、優秀な部下がリカバーする。ダメな上司はダメな結果しか残せないために、さらに上の上司からすれば、その下に有能な部下がいれば、より目立つ。有能な中での団栗の背比べであれば、出世も容易ではない。ダメだから、かえって有能な部下の出世が早まるというわけだ。悪いことではない。
そして上司がダメな方が自分が鍛えられる。上司のしりぬぐいや上司の邪魔も含め、結果を出すために、有能な上司の下で働くよりは、余計な仕事が増えるものの、自分が成長するチャンスはある。
上司が無能だからと言って、嘆くなかれ。逆にチャンスばかりだと思え。
(教訓)
〇ダメな上司は反面教師として使える。
〇ダメな上司はダメな結果しか出さないから、かえって有能な部下の才能が目立つ。
〇ダメな上司の方が自分が鍛えられる。