現在では、分裂した人類世界の細胞の一つ一つが、それぞれ自分に都合の良い辞書を振りかざして、正義の何たるかを他者にお説教しようと試みているかのようだ。
最も警戒すべきは、・・・つまりヤン・ウェンリーの人望を欠くとして、同盟軍とフェザーンの不平分子が結集することである。軍事力と経済力が合体し、化学反応を生じたとき、わずかな毒煙が巨竜を地に打ち倒すような事態を呼び寄せるかもしれない。
「陛下がこれまで常勝を誇られた所以は、歴史を動かしていらしたことにあります。今回に限り、御手をつかねて歴史に動かされるのをお待ちになりますか」
(解説)
ラインハルトが帝国のゴールデンバウム一族を打倒し、自らラインハルト王朝を気付き上げたが、現状は、戦国自体の様相を示している。軍事力そのものはラインハルト王朝が絶対的な勢力でありながらも。そして各勢力が、他の勢力に対して、自分の理念を振りかざしている。
経営者にとっての正義は、それぞれ異なる。売上の最大化。マーケットシェアでトップを取る。利益の最大化。ステークホルダーへの分配。地域社会への貢献(雇用も入る)等。経営者の数だけ正義がある。ただ、正義と呼べるものではなく、目指すもの、であろう。
私利私欲というものは、正義にはなり得ない、・・・と言いたい。その経営者個人の正義であっても、会社の正義ではないからだ。会社は一度作ってしまえば、経営者の「モノ」ではない。公的な器である。私的な器であれば、従業員はいずれ離反していく、顧客も離反していくだろう。公的な器であれば、従業員は集ってくる、そして顧客も集ってくる。
強力な会社組織は、事業力と財務力が完全に融合し、化学反応を起こす組織である。天下無敵と言ってよい。事業力だけでは会社を大きくすることもできない。当然財務力だけで会社を大きくすることもできない。事業力と財務力の両輪で会社は無敵になる。正直、営業と経理(財務)でいがみ合っている場合ではない。
優れた経営者は、自らの力で歴史を作ることだ。歴史の歯車になっているうちは、いくら自ら経営をしていたとしても、たかが知れた結果にしかならず、景気がいいときは上手く行き、景気が悪いときにはダメになる。これでは従業員と変わりない。景気に動かされてはならない。できれば自ら景気を動かしうるくらいの存在にならないと、、、これは理想論ではあるが。少なからず、景気に左右されない事業を展開しよう。
(教訓)
〇経営者の正義とは、私利私欲のところにはない。
〇事業力と財務力の両輪で、天下無敵の会社に育つ。
〇自ら景気に影響を与える存在になれ、最低でも景気に影響を受ける会社であってはならない。