世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

リーダーは適材適所を心掛け、中長期で人材を見よ

「ところで閣下、いささか細かいことで恐縮ですが、ポリス・コーネフと言う男のことで、ちょっとお話があるのです」
「憶えている。あの男がどうした?」
「自由惑星同盟駐在の弁務官事務所から、遠慮がちながら苦情が来ております。協調性と勤勉さに欠け、何よりも致命的なまでに意欲が乏しいとか」
「ふむ・・・」
「独立商人としては、そこそこの才覚があった男のようです。公務員と言う身分にしばりつけたのは、遊牧民に畑を耕せと命じたようなものではありませんか」
「適材適所とは思えん、というわけか」
・・・
「・・・確かに野に置いておくべき男だったかもしれんのだ、ポリス・コーネフと言う男はな。ただ、現在は無意味に見えても、後になって使い道が出てくる駒があるものだ。預金にしても債券にしても、長期になるほど利率が良いだろう?」
「それはそうですが・・・」
「石油が地層に形成されてから、モノの役に立つようになるまで何億年もかかる。それに比べれば、人間は、いくら晩成でも、半世紀も経てば結果が出るものだ。あせることはない」

(解説)
ルパート・ケッセルリンク補佐官と自由惑星同盟からフェザーンへ派遣されている弁務官であるヘンスローの会話である。

やる気がない人間にやる気を出させるために、色々策したところで、適材適所ではない場合、やる気が起きるわけがない。やる気を起こさない人間を怠け者呼ばわりするが、そのポジションに置いていることが間違っていることに気づかない限り、社会に適材適所は起こり得ない。中々、社会の方で適材適所を徹底させるのは限界があるから、生きていくためにはやむを得ないと割り切るか、あるいは自分の努力で適材適所を探すしかないのが現実だ。遊牧民に畑を耕かせようとしても確かにうまくいくはずがない。

リーダーとしては、部下が組織にいる以上は、やる気を出してもらわなければならないが、後から使い道が出てくる可能性もあると割り切って、そのままにしておかざるを得ない場合もあるだろう。もちろん、組織にそれだけの余裕があればだが。今は無意味と言って斬り捨ててしまえば、リーダーに人を見る眼などいらないのである。

大器晩成型の人間は残念ながらいる。それを生かすも殺すもリーダー次第である。

(教訓)
〇やる気のない人間に、組織の方で適材適所を心がけなければ、やる気が出ないことを知れ。もちろん、適材適所を探すのは、自助努力が大きいから、やる気のない人間には別の会社に移ってもらうのもやむを得ないこともある。
〇大器晩成型の人間こそ、リーダーは大切にせよ。人に即時性を求めるな。長期的に見た方が、人間としての利回りも高い。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする