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大物は小事にこだわらず

帝国においては、この方面の警備責任者であるカール・グスタフ・ケンプ提督が。敗戦の罪を帝国軍最高司令官ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥に陳謝したが。
「百戦して百勝と言うわけにもいくまい。いちいち陳謝は無用である」
と、一言で片づけてしまった。

帝国宰相でもあるラインハルトは、内政の整備と、自己の権力基盤の充実とに、かなりの勢力と時間を割かねばならず、国運をかけての大会戦ならともかく、戦略的にも外交的にも意味の小さい、局地的な一戦闘の勝敗等にこだわってはいられなかったのである。

(解説)
ユリアンがビギナーズラック的な活躍を修めた、イゼルローン要塞近辺での小競り合いは、帝国側の撤退で終了した。その提督であるケンプがラインハルトに報告と謝罪に訪れたが、そもそも局地戦での勝敗に興味はなかった。それが大物のゆえんである。

小物になればなるほど、小事にこだわる。細かい所にこだわる。というか、拘る所がそこにしかないからだ。それで仕事をやった気になっている。もちろん負けは負けだし、報告そのものが無意味ではないし、なぜ負けたのかの検証については、提督とその取り巻きで行っておくべきことであろう。

経営者が、営業のやり方について、事務の仕事の仕方について、事細かく指摘するに及ばない。そんな暇があるのならば、戦略を定めよ。経営者がコスト意識を持ち過ぎてもいけない。持つべきでないとは言っていない。最低限のコスト意識は必要だが、そんなことよりは、もっと売上を上げるにはどうしたらよいか、利益率を高めるためにはどうしたらよいか、セールスサイドで考える方がよほど経営者に相応しい。コスト意識の向上なんてものは部下にやらせておけばよい。部下に任せておいてはダメだと思ったら、給料制度、つまりインセンティブ制度と絡めておけばよい。コストが上がったら給料を下げる、そうすればコスト意識を否が応でも持つようになる。しかし、やり方を間違うと、営業マンのやる気をそぐ結果にもなりかねないから、利益率だけと言う視点で、インセンティブ制度を設けない方が良い。むしろ利益高の方が良いのかもしれない。

大物は小事にこだわらずは、経営者であれば肝に銘じなければならない。

(教訓)
〇小さなことは従業員にやらせろ。
〇大物は小事にこだわるな。ちょっとしたミスをなくすよりも、大きな便益を得る方策を考えろ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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