「戦わずして後悔するより、戦って後悔する」
「戦うにあたり、卿らに改めて言っておこう。ゴールデンバウム王朝の過去はいざ知らず、ローエングラム王朝ある限り、銀河帝国の軍隊は、皇帝が必ず陣頭に立つ」
皇帝の声は、水のように艦橋を満たした。
「予の息子もだ。ローエングラム王朝の皇帝は、兵士たちの背中に隠れて、安全な宮廷から戦争を指揮することはせぬ。卿らに誓約しよう。卑怯者がローエングラム王朝において至尊の座を示すことは、けっしてない、と・・・」
(解説)
ラインハルトの考え方である。一般人であれば、失敗すれば後悔するから何もしない。現状を変えない、と考える。だからいつまでたっても現状は変わらない。結局何もしなくても後で必ず後悔するのだから、やってみて失敗した方が気分がいい。でも悲しいかな、やってみて失敗してときは、やらなければよかった、と思って後悔するのだ。
あるビジネスをやったとする、それで失敗した。やらなければよかった。であれば、その失敗を改善していって成功しようという発想は何故ないのだろうと思う。その時の失敗をすぐに改善して、成功につながることは確かにそれほど多くない。でも別のことをやっていて、その失敗を経験することで、同じ轍にはまらない、というだけで次の失敗は格段に減る。
やらなければ後悔しないのは、後出しじゃんけんに近い。あるビジネスをやらなかったとする、誰かが似たようなビジネスをやって失敗した。やらなくて正解だった。と言って満足しているかもしれないが、それは別の人がやったから失敗だったかもしれないし、そのビジネス以外のところで失敗したかもしれない。タイミングが悪かったのかもしれない。今、これからやればかえってうまくいくかもしれない。なぜ彼らが失敗したのかを考えれば、勝機が見えてくるだろう。
大企業であれば、経営者が自ら先陣に立つということはあまりない。その先陣に立つところが単なる局地戦であれば、もう少し全体像を見るような位置で指示した方がいいとの判断である。ただ、森を見て木を見ずという事が往々にして起こる。その局地戦が、会社全体の今後を左右するような場合には、進んで先陣を負う必要があろう。
最大の問題は、一番大変なところを現場の人間に押し付けている姿勢である。現場の人と一緒に汗をかく、それが、組織を束ねる者に必要な姿勢だ。暑い夏に涼しいクーラーのあるとことで胡坐をかいている。寒い冬に暖房の効いた部屋でぬくぬくとしているのがダメなのだ。現場感覚を失った経営者のいる会社に明日はない。
(教訓)
〇経営者は暑い夏には外に行け。寒い冬にも外に行け。
〇経営者が現場感覚を失えば、その会社に明日はない。