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無謀なことでも根拠や手段が明らかならばやれ

ユリアン・ミンツは、自分が考えているよりはるかに豪胆、もしくはずぶといのかもしれない。イゼルローン要塞に帰投し得ぬまま、帝国軍主力との衝突を回避し得ぬと判断したとき、ユリアンは開き直った。もともと極小の兵力をもって、強大な銀河帝国軍と知勇を競おうというのである。完全に整備された環境等望みようもないはずであった。戦いつつ勝機を見出すという発想を、この際は採らざるをえなかった。

(解説)
豪胆や図太いというよりも、ユリアンのそれは開き直りに近い。最初から極小の兵力で最大の兵力と戦うという事は、無謀以外の何物でもないのだが、それでも戦わなければならないときに戦わなければならないという事は別のことである。しかし戦うからには、最初から目的を決めていた。そこにこそ意味があると思われる。ヤンもユリアンもだが、ラインハルトに成り代わって、宇宙を手に入れるという事は全く考えていない。民主主義の種さえ残せればいい。そのために必要なのは、局地戦でもよいから勝利して、何らかの条件を付けて和平を残せればいいという考えに至ったから、無謀とは知りつつも戦ったのだ。

同じ無謀でも目的を持った無謀、その目的を達成するための無謀であれば、無謀ではない。傍から見て全くうまくいかないように見えることでも、きちんと理詰めで上手くいく方法として手段はこう考えている、上手くいく根拠はこれこれである。仮にうまくいかなかったとしても、今回はここまでできれば正解と考えている。これらを全て示したうえで、進めるべきである。特に他人を巻き込むときはそうすべきだ。

普通の人間であれば、どうやってもダメそうだよな、と思ったら動かない。しかし動いてみないと分からないし、動いてみたら案外行けるじゃねえかと思うことも少なくない。一番良くないことは、やったことがないからやらない。うまくいきそうにないからやらないという姿勢だ。もちろん、やったことがない、上手くいきそうにないと思っていたら、自分だけリスクを負えばいいだけで、他人を巻き込んではならないことは確かだ。

一番ダメなことは、自分ではやったことがないからやらない、上手くいきそうにならないからやらないという事はいいわけにはしない、そして、それを他人にも強要して、だから上手くいく方法を一緒に見つけましょうという態度、あるいは協力してください、当然成功報酬で、と言うのが良くない。成功報酬は頼まれた相手を一切本気にしない。元々ダメ元なことかもしれないが、ダメ元がさらにダメになる。

(教訓)
〇やったことがない、やったらうまくいかなさそうだ、で、始めない態度が一番悪い。
〇やりながら勝機を見出すことを考えよ。人間、ピンチにさらされた方が、頭がさえることがある。
〇傍から無謀に見えることでも、手段、根拠がしっかりしていればやれ。まあ、大抵無謀なことは手段や根拠が本人の思い込みだけが多い。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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