「ところで、卿という人も変わってるな。私はこの収容所で15人ぐらいの参事官にあってきたが、卿が一番、私の興味を引く。今までの連中は可もなく不可もないというだけだった」
「まだお会いして間もありませんが、それでもですか」
「一度会えば十分だ。むろん私は卿の全人格を把握した等と自惚れるつもりはない。ただ興味を抱くに足りる人物らしい、と評価しているだけでな」
(解説)
ヤンが、同盟の伝説の将ブルース・アッシュビーが謀殺された可能性があるという事件の真実の解明のために、ある帝国軍の捕虜を収容している施設の参事官として訪れた星に、捕虜である帝国軍の軍人がいた。ケーフェンヒラー大佐である。ヤンとパトリチェフ大尉が、帝国軍の捕虜に捕らえられていたときに、ケーフェンヒラー大佐がヤンの元にやってきた。その両名の会話である。
見た目による第一印象は大事である。どんな優れている人でも不潔な人とは一緒にいたくはない。それはそうであるが、最も大事なのはフィーリングであろう、というか会った瞬間にビビッとくる感じ。何だか男女の出会いのような話になっているが、それは同性であろうと、いわゆるビジネスパートナーも同じである。
大会社等の組織であれば、学歴で選ぶのも悪くはない。それだけの事務処理能力の高さであったり、粘り強さは学歴の高い方が高いというのが一般論として正しかろう。しかしだ、これを中小企業レベル、あるいはベンチャーレベルで金科玉条のように考えてしまうと、間違いなく大失敗する。
ベンチャーにとっては、頭のいい人間という定義が異なる。記憶力のある人材や多くの知識を抱えている人材は意味がない。それ以上に、自分の力で考え、そのための情報を収集し、最適な解答を導ける人材の方が、有用である。こちらを頭がいい人材である。こうなると、学歴の高さは、緩い相関関係にある、というだけになってしまう。学歴が高く、プライドが高い人間は、むしろ害悪でしかない。
ビジネスパートナーに据える人間は学歴で選ぶべきではない。そして職歴で選んでも意味がない。今までの知識や経験が必ずしも、新しいビジネスで使えないかもしれない。もちろんビジネスパートナーでなく、手足で動かそうというのであれば、学歴の高い人という選び方も良いが、その前に、学歴の高い人は、無名ベンチャーなど相手にしてくれないから、心配はない。
同じ学校の人間を選ぶのであれば、学生時代にフィーリングが合った人材を選んだほうが良いだろう。一度会っただけで興味を持たせる人物こそが、ビジネスパートナーにはふさわしい。
(教訓)
〇ビジネスパートナーとして考えるには、見た目の清潔感は重要だが、それ以上に、フィーリングが重要である。
〇一度会っただけで興味を持たせる人物こそが、ビジネスパートナーにはふさわしい。