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不正を起こさせない組織設計をせよ

「さて、現在の状況がどうなっているか、いささか裏面について知らせよう。まず押さえておきたいのは、コステアの思惑だ」・・・
「この収容所の金庫には、小さなブラックホールが開いておってな、使途不明の金銭が故ステアのポケットに流れ出ておるのさ」
・・・
「それで大佐殿、私はこの演劇の中で、どういう役割を与えられるのです?」
「エル・ファシルに続いて、ヤン少佐はエコニアでも英雄になれるわけだ。但し生きた英雄ではなくて死んだ英雄だ」
「私もヤン少佐と一緒に英雄ですか」
「パトリシェフ大尉は気の毒だが、英雄にはなれん。卿に与えられているのは、別の役割だ」
「パトリチェフ大尉が、金庫に空いたブラックホールの政策責任者ということになるわけですね」
・・・
「ま、大きな社会には大きな不正があるし、小さな社会には小さな不正があるものさ。たかが辺境の収容所惑星でも、権力が存在すれば、それは存在した瞬間から腐り始める」

(解説)
捕虜のケーフェンヒラー大佐は独自に調査をしており、同盟の収容所長のコステアが、業務上横領をしていることを突き止めた。そしてヤンらを捕虜にした、帝国軍捕虜ブレスブルク注意は、コステアに乗せられて、ヤンを捕虜にしたわけだ。ヤンやパトリシェフはコステアにとって邪魔者だったから、消されるのである。それで、コステアは不正をパトリシェフの責任に押し付けようと画策していた。

しかし大きな社会には大きな不正があるし、小さな社会には小さな不正があるとはよく言ったものだ。上場企業の経理財務になると、それだけ多くのお金が動かせる不正が起きえる。未上場企業でもそれだけ多くのお金を扱っていれば同じである。大きな不正が起こるという事は大きな会社なんだなと認識する。大きいからダメ、小さいからいいではなく、小さな不正を行っている者は、大きな権限を持てば、大きな不正を犯すようになる。

上記では権力が存在すれば、存在した瞬間から腐り始めるというが、権力は権限ともいえる。権限はずっと持たせ続けては行けない。どんな聖人君主であろうと、腐る。だからたまに変えるのが良いのだ。モニタリングも必要だが、変えた方が早い。銀行員も長期休暇を取らせたり、数年に一度転勤をさせられるが、不正をさせないための非常に合理的な仕組みなのである。このような考え方は、色々な企業で取り入れるべきものだ。

(教訓)
〇不正を起こさせないために、モニタリングをするか、権限を同一人物に長く持たせ続けないようにせよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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