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粛清と叛逆は無限連鎖するか

ミッターマイヤーは、陰謀家としての才能によってではなく、一国の重臣としての識見によって、事態の本質的な危険を見抜いていた。もしロイエンタールの叛逆が事実となれば、それを鎮圧した後に来るのは、主君と臣下群との相互猜疑である。一方は、「ロイエンタールでさえ背いた。次は誰か」と思い、他方は、「ロイエンタールでさえ粛清された。次は誰か」と考える。そうなれば、粛清と叛逆の無限連鎖に陥るだけである。

「たとえどれほど悪辣な陰謀の結果であっても、叛乱の芽が生じるのは、相応の土壌が存在してのことである。皇帝ラインハルトとロイエンタール元帥との間には、結局、陰謀家に乗ぜられるだけの隙があったとみなさざるを得ない」

(解説)
組織における粛清と叛逆は、それほど多く目にするものではないが、それなりの頻度で見受けることが多い。とりあえずは、叛乱軍、その叛乱の旗を掲げた人物とそれを指示した人物が粛清されて、内紛が終わるか、あるいは叛乱軍が現経営者をそのグループを見事、その地位から追い出して、その会社を乗っ取ることで集結する。

自分はある上場企業のIR(投資家向け広報)の仕事をさせてもらったときに、このお家騒動に巻き込まれたことがある。叛乱軍からサポートしてくれと言われたが、流石に断った。叛乱軍の支援者は、それなりのファンドだったので、魅力的だったし、当然のことながら、叛乱終結後の役職もオファーを戴いたが、だからと言って、社長に反旗を翻す方に与するのは、仁義に反する。結果的に反乱軍は鎮圧され、それに加担した役員陣は粛清され、事件はとりあえず終結した。

そもそも叛逆が起きるのは、それの土壌を作る、経営者に責任がある。この人に任せると、ダメなんじゃないかと思われてしまうから叛逆が起きるのだ。結局、上記会社では手を変え品を変え、別の有名ファンドが乗っ取りを画策しているという。それだけ魅力のある会社ではあるのだが。そして、その基盤を作ったのは、前経営者であって、現経営者ではない、そこにも叛逆を生む隙がある。上記例では、陰謀家と言うのは、ファンドということになるのだろうか。それに乗せられる現経営陣の一部と言う構図である。ファンドが取締役会に人材を送り込んでいくと、現経営陣との間に接点が出てくるので、工作をしやすいということもある。

(教訓)
〇叛逆が起きるのは、経営者の問題が大きい。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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