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心の豊かさを求めるか、物質的な安定さを求めるか、人それぞれ

「何者にも所属しない存在」であることを、この豪胆な独立商人は、不安がるどころか楽しんですらいた。命がけで帝国軍の封鎖網を突破し、情報を集め、物資を密輸し、それらの行為を、誰からも命令されず、自分の意志によって行うことに、無常の快感を覚えていた。彼にとっては、誰かの上官や臣下として法的な地位を得るより、誰かと対等な友人であることの方が、はるかに立派なことだった。

ダスティ・アッテンボローが革命戦争に熱中したのと同じように、ボリス・コーネフは、「自由な独立商人」の立場に固執した。全ては義務ではなく、彼がやりたいようにやればよい、と言うわけだが、「物質的な利益より心の利益が大事さ」等と言うあたりに、商人と言うより冒険家としての資質を認める者もいる。オリビエ・ボブランに言わせると、「奴はスリルが好きなだけさ」と一刀両断になるのだが。

(解説)
理想論かもしれないが、これが民主主義に相応しい経済制度における働き方である。「誰かの上官や臣下として法的な地位を得るより、誰かと対等な友人であること」というのだから。

現実、誰かの上官や臣下として地位を得ることを放棄、つまりサラリーマンと言う身分を得ないと、フリーランスかもしくは自ら経営する、さらにはフリーターと言う生き方かもしれないが、安定を棄てることになる。フリーランスとはかっこよく見えなくはないが、結局のところ、ある会社の業務委託をすることで報酬を戴くわけで、体のいい自由度の高いサラリーマンでしかない。雇用主としては社会保険もかからないし、仕事が減れば切ればいいだけ、従業員よりも扱いは楽である(労働法制度と比較すれば)。だからフリーランスは対等な関係にはなっていない。

サラリーマンの方が楽だと思うことも少なくないし、「何者にも所属しない存在」であることを楽しめるキャラでないと、フリーランスはできない。これといってやりたいことがなければ、サラリーマンであった方が色々と良いだろう。

後は、お金が欲しいならば独立した方がいい、という考え方は捨てた方がいい。独立したら、稼げる場合もあるが、独立したから稼げるものではない。おそらくサラリーマンでそれなりの地位にいた方が、稼ぎは大きい。何故ならば、ある程度の大所帯で収益を上げて、その配分を預かれるわけだから、特に事務職としては、大所帯にいた方が配分が増えて当たり前だ。それに大所帯での営業活動の方が、ブランド力はあるし、サポートはしっかりしているし、それなりに利回りの高い商品を売りやすい。その結果、自分の給料にも跳ね返ってくる。

独立をした方が稼げる場合も少なくはないが、それよりも「物質的な利益より心の利益が大事さ」には間違いがない。但し、あまり稼げなくて、心の利益が失われるデメリットの可能性もないわけではない。全て気の持ちようではあるが。

(教訓)
〇民主主義的な会社とは、実は上司や部下のいない組織であろう。
〇対等な友人関係を拡張していくことで儲けられればベストと言える。
〇独立をしたからといって、確実に今の給料より増えるかと言うと、どちらかと言うと減る方が多いのではないかと思う。唯一物質的な利益よりも、心の利益を高めるという可能性は独立をした方が確実に得られる。但し、最低限生活できるほどの収入を上げられた場合に限る。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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