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手段と結果はコインの裏表の関係

「帝国軍と戦って勝つ」
「ノウハウを無視して結果を論じない方がいいと思うが・・・」
「ノウハウは我らが元帥殿が考えるさ、それしか特長がないんだから」

三日間の喪が明けると、ヤン・ウェンリーは内心はともかくとして、背筋を伸ばし、顔を上げて歩くようになった。キャゼルヌに言わせると、ようやく上に立つ者の自覚が出てきた、ということになろうか。

(解説)
前段は、ビュコック元帥が、帝国軍との戦闘で戦死した後の、ボブランとシュナイダーの会話である。「ノウハウを無視して結果を論ずるべきではない」、これはその通りであろう。当然、結果を論じてから、そのノウハウを考えるというのでもいい。ノウハウがないのに結果だけを目標にするのが良くないということだ。どんなことでも始めるのはいいことだ。できれば始める前にある程度ノウハウを考えておき、速やかに実行しろ。ノウハウ、ここでは手段であるが、手段、つまり解決方法がないのならば、そもそも始めない方がいい。手段と結果はコインの裏表である。手段無くして結果はないのだ。

そんなバカな奴がいるのかと思うが、とにかく結果だけしか頭になくて、その結果を導くための材料がまるで揃っていないことが多い。画期的な発毛剤を販売しよう、としたところで、技術者本人の頭の中には、どうやら設計図があるようだが、その原理を聞いてもよくわからない。もちろん化学を勉強したことがない人に、原子記号を並べられても仕方がない。要するに出資してほしい、ということなのだが、どう販売するかもわからない。医薬品として売れるわけもなく、アピールできなければマーケットに乗らない。いざというときにはマルチレベルマーケティングをなんていうが、そんな簡単にさばけるわけもない。超有名企業が作るならばまだしも、それが効果があるかどうか、数多くのモニターにその効果を示してもらわないといけないのに、その試作品を作るのに金が要ると始まる。それくらい自分で何とかしろよ、というと、それが出来なくて困っているとほざく。どこまでいっても、解決策がない。アイデアだけあって金くれパターンだ。商売になりはしない。

後段は、ヤンがビュコック元帥の戦死に心を痛めていたが、3日目には外見上は立ち直ったことを、キャゼルヌが評したことである。リーダーの自覚とは、どんな苦しいことがあっても、胸を張って堂々と前を向いて歩くという事だ。上でなくていい、前だ。自信を持つためには、自分が自信を持ったふりをするのがいい。堂々としていれば、勝手に自信もわいてくる。そして自信のあるところに、人や金も集まってくる。

(教訓)
〇手段と結果はコインの裏表の関係である。手段なくして結果はない。
〇リーダーの自覚とは、どんな苦しいことがあっても、胸を張って堂々と前を向いて歩くこと。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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