ハイネセンへ赴けば、生還を期しえない確率が、50%は存在する。いきなり逮捕され、処刑と言う結論が待っているかもしれないのだ。
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シドニー・シトレ元帥は、暴走する囚人の軍に突き飛ばされ溝に落ち、左のかかとを骨折してしまった。最もその為身動きができず、溝の中に座り込んでいたことが、結局、彼の生命をすくった。
もとヤン・ウェンリー元帥の麾下で参謀長として名声を得たムライ中将は、混乱と銃火を避けて、刑務所の裏門方面へ歩いていた。狼狽して走り回ったりしないのが、秩序と諧調を重んじる人物らしいところだが、爆風で地に叩きつけられ、昏睡しているところを発見されて病院に運ばれた。
(解説)
旧同盟の人質を解放するための条件として、イゼルローンの責任者がラインハルトとの交渉のために、ハイネセンへ来ることを伝えられ、ユリアンらはそれに従わざるを得なくなった。しかし、逮捕されて処刑される可能性もなくはない。そこで人員を厳選した。特に艦隊の指揮を執るメルカッツ等は、いざと言う時のために要塞に残された。責任者がすべて同じ行動を共にしないという考え方は必要である。
会社によっては、社長と副社長は同じ飛行機の便に乗らないことを徹底させているところもあるという、考えたくはないが、飛行機の墜落事故は起きることがある。そのときに会社の経営陣が全員乗り合わせていたら、会社の経営が危ぶまれることになる。いわゆるリスクヘッジである。
自分たちの意思で意図的に行うリスクヘッジもあるが、運がいいのか悪いのか、シトレ元帥は軍に突き飛ばされて骨折して、身動きができなかったためにかえって助かったということもある。これは運がいいということである。
また、自分の意思ではなく、ムライ中将は普段からの秩序を重んじ、走り回ったりせず、落ち着いて、銃の飛び交う場所を避け、行動した結果、爆風で地に叩きつけられ、昏睡をしていたところを救助されたという例もある。
(教訓)
〇リスク回避には、計画的なリスク回避、運が味方をする、そして、普段の行動でリスクを避けるようにしているといったものがある。