「ジーク、ラインハルトのことをお願いするわね。あの子は他に友達を持とうとしないけど、あなた一人で十分と思う気持ちは、私にもわかります。引き受けて下さる?」
「はい・・・はい、生命にかえましても」
「それではいけないわ。二人とも元気で帰って来てくれないと・・・」
「どちらかがどちらかの犠牲になるような仲は長続きしないわ。あなた方二人はお互いに必要な存在であってほしいの。どうか、互いに与え合う仲でいてね」
(解説)
ラインハルトの姉アンネローゼから、キルヒアイスはラインハルトのことを託された。結局、命に代えて、ラインハルトを守って逝ってしまったわけだが・・・。
さて、ビジネスのあらゆる場面で、どちらかが犠牲になる関係はある。右肩上がりの時代には、どちらかが仮に犠牲になったとしても、最終的には報われたのである。現状、このような状況は、例えば、元請け下請け構造。実質共同経営ながらも、片方が金銭的なあるいは精神的な負担を負う関係。経営者の気が弱く、何となく従業員にいいように使われている関係(非常に希)。いわゆるブラック企業で、サービス残業を当たり前とする環境、不当に扱われる関係。顧客からひたすらだまし取ろうとする○○会社。顧客の立場を利用して、カスタマーハラスメントを受ける店の従業員等。
長い人間関係を続けるには、どちらかが犠牲になる関係ではダメだ。短期的には大丈夫でも、中長期的には絶対的に続かない。
あるパイをどちらが多くとるのか、という経済状況になってしまっているために、どちらかが負担になる関係がそこらかしこに見られるようになったのである。いわゆるウィン・ルーズ(どちらかがいい思いをし、どちらかが負担になる)の関係である。
負担になっている方は、その状況の解消を早めに主張するか、さっさとこのような関係を破棄し、良好な関係を締結できる先を見つけた方が良い。ウィン・ルーズのままでウィンの方が当該状況を放っておいているとすれば、厚かましい、人間的な品位がない奴である。本当にお前何様のつもりだ、であろう。
お互いに必要な存在であり、お互いに与えあう関係が真に長続きのする関係なのである。自分が相手のためにどのように役になっているか、そして相手が自分のためのどのように役に立っているかを、たまに見直してみた方が良い。
(教訓)
〇定期的に、あらゆるビジネスの関係を、ウィン・ルーズの関係になっていないかチェックせよ。
〇どちらかが犠牲になる関係は長続きしない。お互いに必要で、お互いが与えあう関係が真に長続きする関係である。