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ビジネスにおいて坊主憎けりゃ袈裟まで憎いはやめろ

「皇帝陛下・・・」
広間を歩む彼に呼びかけたのは、首都防衛司令官と憲兵総監とを兼任するケスラー上級大将であった。
ラインハルトが立ち止まると、ケスラーは型通り皇帝の無事を祝い、不逞な陰謀を事前に察知し得なかった罪を謝した。
「いや、卿はよくやった。既に陰謀の本拠地である地球教の支部とやらを制圧したというではないか。罪など謝さずともよい」
「恐れ入ります。ところで、陛下、既に死亡したとはいえ、キュンメル男爵は大逆の罪人。死後の処置をいかにとりましょうか」・・・
「ケスラー、卿が命を狙われたとする。犯人を捕らえたとして、犯人が所持している凶器を卿は処罰するか?」
二、三秒の時差で憲兵総監は若い皇帝の言わんとするところを理解した。皇帝は、キュンメル男爵個人の罪を問わないと言明したのである。それはむろん、その親族たるヒルダやマリーンドルフ伯も不問にするという事であった。糾弾され、制裁を受けるべきは、彼を背後から操った狂信者たちだった。

(解説)
キュンメル男爵や地球教がラインハルトの暗殺を謀った。キュンメル男爵はヒルダの従弟であり、一族であるために、旧来のゴールデンバウム王朝の法規に照らせば、重罪であったが。元々ラインハルトはゴールデンバウム王朝のしきたりには従わないと宣言していたこともあり、病弱で、暗殺現場で死んだキュンメル男爵の罪と不問にすることで、ヒルダやマリーンドルフ伯に罪が及ぶことを阻止した。

その例えが興味深い。犯人を捕えたら、その凶器を処罰はしないと。いくら関係者と言っても、その事件に関わっていない者まで罪を問うことをしてはならない。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いと言った心境では困る。

ビジネスにおいても、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ようでは、チャンスを見誤ることもあろう。つまり、ある会社が嫌いだから、そこの会社の商品やサービスは買わない。仮にその嫌いな会社が競合他社ならば、自社の強みを生むために、観察対象とはすべきだろう。ビジネスは感情論だけで動いてはならない。嫌いなら、なんで嫌いなのか、その嫌いなことを好きにするにはどうしたらいいか。そう考えてこそ、ビジネスチャンスが起きるのではないだろうか。

(教訓)
〇ビジネスにおいて、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いは良くない。嫌いなものを分析し、どうやったら好きになるかを導けば、ビジネスチャンスにつながるかもしれない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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