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理想も真実も、複数あることを知れ

「真実は常に複数形なんだろうな」
「戦争する奴の真実。戦争をさせる奴の真実。戦争をさせられる奴の真実。一つ一つ、皆違うさ」
これもまたその通りだ、とヤンは思う。自分一人の場合に限っても右目だけで見たときと左目だけで見たときとでは、同一の物体が異なるものに見えるではないか。まして、横に回ってみる人もいれば、後方から眺める人もいる。それぞれに、網膜は異なる像を結ぶだろう。それらの一つだけが正しく、他は誤っていると、誰が判断するのだろうか。

(解説)
真実は一つ、だったとしても、見方が変われば、その見方の数だけ真実が異なって見える。

仮に自分の人生の理想とか、会社の理想とかを追い求めたとしても、その理想も一つではない。場面場面に応じた理想というものがありうる。

ある会社の理想が、ひたすら売り上げの拡大とする。別の会社の理想は売上よりも利益の蓄積であるとする。他の会社は将来利益であって、企業価値(株価)を高くすることであると考える。

売り上げを拡大して、その配分も大きいことを前提とすれば、その売り上げにぶら下がって儲ける人にとって見ればありがたい。役員はさることながら、給料をもらえる従業員、取引先もメリットがある。利益にこだわろうとすると、その中で費用を受領する場合は少し不利益になるかもしれない。その利益が最終利益と考えれば、税金も安い方がいい、それならば租税回避地に本社を置こう、と考えるかもしれない。そうすると税金を受領する国税、地方税はまるでありがたくない。企業価値を高くする場合には、今配分を受ける人は少なくなるかもしれないが、投資家にはフレンドリーな考え方になるだろう。

どれもこれも、会社の理想の形である。どれが正しいとか間違っているということはない。しかしその理想の形によっては、それによって儲けられる人も三者三葉微妙に異なる結果になる。

それゆえ、全てにおいて正解はないという気持ちを持った方がいいだろう。オーナー社長が自分はこれが正解だと持っているという形は、一つの政界の形かもしれないが、それはオーナー社長の正解であって、他の人の正解はない。そして正解だと思う人が多ければ、その企業は末永く存続する可能性が高い、というだけだろう。自分だけの理想を追うよりも、利害関係者の理想の総和を目指すのが良いと思われる。

(教訓)
〇理想にはいろいろな形があることを認識せよ。
〇数多くにとって理想の形になれば、その会社は長く存続する可能性が高まる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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