「いつも前に出ることがよい。そして戦のときでも先駆けるのだ。」
(解説)
マーケットは先行者利益とも言われるが、ときには後発者利益というものもある。後者は次のような場合である。
(a) 先行者がリスクをかけた開発コストの低減
(b) 参入時には市場が少なからず出来ているので、ポジショニング戦略を立てやすい
(c) 先駆者が見えていないポイントで勝負を掛けられる
例えばドトールが格安コーヒー店の多店舗展開を成功させた後に、スターバックスやタリーズ等が参入しました。それぞれが独特の特色を持ち、大成功を収めている。格安コーヒーというポジショニングからすれば、コンビニでのコーヒーも大成功モデルの一つと言えるだろう。これらの成功事例は、マーケットがある程度出来上がってからニーズを分析してサービスを提供できたことによる。これらはまさに後発者メリットの一つである。
その他は、例えば通信キャリアとして楽天が新規参入しているが、通信の物理的な設備であるルーターを使わずに完全仮想化でまかなうと発表。ハードウェアを使わず、すべてソフトウェアで行うというもの。その行方はまだわからないが、設備投資の額も少なくて済み、例えば4Gから5Gのような変化でも設備入れ替えが不要となり、コストアドバンテージを有するのではないだろうか。いずれにせよ、後発者利益と呼べる内容だ。
[教訓]
〇先に行けばいいこともあるが、後からの方がいいこともある。
〇後発者利益の最大のポイントは、先行者がリスクをかけた開発コストを低減してマーケットに参加できることである。