宮本武蔵に学ぶ、
「影を抑えるとは、敵の方からかかってくる意図が見えたときの方法である。」
「多人数の戦いにあっては、敵が戦法を仕掛けてこようとするところを、こちらから、その戦法を抑える調子を強く見せれば、敵は強い態度に押されて、やり方を変えるものである。こちらも戦法を変えて、虚心に敵の先手を取り、勝ちを得る。」
「一対一の戦いにおいても、敵から生じる強い気を、わが拍子によって抑え、くじけた拍子にこちらは勝利を見出し、先手を取っていく。」
(解説)
「影を動かす」のは、敵の意図がわからなかった場合だが、「影を抑える」のは敵の意図が分かっているときの方法である。自分がその方法が苦手とか、このタイミングで攻められると困るという場合には、その戦法の無効を図る。あるいはリズムをずらす。そして、敵の意図が分かったときには、敵のやり方を変えさせて、そのすきを突く。一対一の戦いの場合には、相手のリズムを狂わせることで、勝利を見出せと言っている。
サッカーで例えれば、このタイミングで攻められると自軍の守備が万全ではなく、ゴールを決められる可能性があると思えば、敵のドリブラーをイエローカード覚悟で止めに行くことがある。カード1枚は痛いが、敵の勢いが止まり、その間で自軍に守備陣が戻り、完全に迎え撃つ体制が整うことになる。ゴールを決められる危険性を高めるよりはよい。何でもかんでもイエローカードが悪いわけではなく、時と場合によっては有効に使わなければならない。有効に使うからこそ、カードなのである。フェアプレーはいい反面、勝利に徹するという意識が乏しい。お行儀がいいところが、日本人の良いところなのだが。
ビジネスの場合、ネットでの情報発信が当たり前のようになっており、敵(競合他社)の出方を見るのが容易になった。何が何でも競合他社の戦略に一喜一憂することもない。新規獲得に積極的に動いているとすれば、リピーター確保が十分ではないのだな、くらいに思い。自社ではリピーター確保の充実策に臨むのも良いだろう。まさに戦法を変えて、敵の先手を取るという方法だ。
[教訓]
〇相手の意図がわかる場合には、その戦法の無効化を図れ。
〇相手の出方に一喜一憂せず、別の戦法を用い、先手を取れ。