宮本武蔵に学ぶ、
「太刀の威徳によって世の中を治め、わが身を治めるのであるから、太刀は兵法の根本である。太刀の威徳を身につければ、一人で十人に勝つことができる。一人で十人に勝てば、百人で千人に勝ち、千人で万人に勝つ。」
「道について言えば、儒者、仏者、風流人、礼法家、能役者、これらのことは武士の道にはない。その道ではなくても、道を広く知れば、どんなことにも通じないことはないのである。どれも人間として、それぞれの道を良く磨くことが重要なことである。」
「武器をはじめとして区別して愛してはならぬ。必要以上に持ちすぎるのは、不足するのと同じことである。人の真似をせずに、その実に応じ、武器は自分の使いやすいものでなければならぬ。将でも卒でも、特定のものを好いたり嫌ったりするのはよくない。この辺のことを心掛ける必要がある。」
(解説)
威徳とは、人を自然に従わせる威厳と人徳のこと。剣を極めて身につけたもの。ここでは一人で十人という文言を、どんな競合にも負けないと解したい。ただ強いから負けないのではない。人徳を持っているから、顧客から愛されるのである。
職業によって、その道を究めれば、どんなことにも通じる。今の目の前の仕事に全力で取り掛かっていれば、そこで得た何かが、他のことにも応用可能となる。新卒が三年でやめたり、入社して長く持たなかったり、期間の問題ではなく、在籍中にいかに貢献できるか、そこで得た知識や気持ち、ノウハウは別のことで応用できるのであるから、在籍中は徹底的にやり切ることが必要だ。もうやめるから一生懸命やるのもばかばかしいというのであれば、さっさと辞めて、次のことにトライした方が良い。
この世によく必勝法とやらでお金を稼ぐ輩がいるが、その必勝法がそれを聞いた人にとってふさわしい方法かどうかはわからない。あなたにとって使い勝手の悪い方法かもしれない。
お金は必要以上に持っていても、使ってこそ意味のあるものである。もし使わずいざという時のために取っておこうとしたら、使わないのと使えないことは同じだし、使わないことは持っていないことと同じだ。常に有効活用を考えるべきだ。インフレになったら無価値になるかもしれない。
起業家は人を使うときに、依怙贔屓をしてしまうことがある。組織的に、それがチームワークを乱す原因ともなるから、注意せよ。好きとか嫌いではなく、適材適所で考えよ。
[教訓]
〇人徳が顧客から愛され、競合に負けない会社となる。
〇どんなことをやっても、必ず意味がある。まずは目の前のことに全力を尽くせ。次のことに必ず役立つ。
〇お金は使わなければ持っていないことと同じ、貯めるよりも有効活用を心がけよ。
〇チームワークを考え、人を好き嫌いで選ぶな、適材適所で選べ。