宮本武蔵に学ぶ、
「どんな物事についても、拍子があるものであるが、特に兵法では拍子の鍛錬なしには達しえないものである。世の中の拍子が現れているのは、能の舞や楽人の音楽等である。これは拍子が合うことによって、正しい拍子となる。」
「目にみえないものについても、拍子がある。・・・立身出世の拍子、おちぶれたとき、息の合うとき、合わぬとき、商売の道でも財産家になるとき、失うとき、それぞれの道によって拍子の違いがある。」
「物事が栄える拍子と衰える拍子とをよくよく見分けなければならない。」
「相手の拍子に逆らうことを知らないでは、確かな兵法にならない。」
「戦闘においては、敵の拍子を知り、敵の思いもかけぬ拍子をもって空の拍子を知恵の拍子より発して勝ち得るのである。」
(解説)
ここで拍子とは、リズムのことである。物事がトントン拍子に進むとも言われている。スポーツにおいては、このリズムが大切だ。サッカーでも、今、リズムが良いとか悪いという表現を使うことがある。
特に個人技のスポーツで相手との一騎打ちであると、リズミカルな攻撃だと相手に予想されやすい。しかしどこかでリズムを外すと、相手は自分の動きが予測しづらくなる。つまりコースや球種も含め予測が難しくなる。テニスを見ていると、ラリーが続いていて、どこかでリズムを外してくる。外した方はしてやったり、相手がズッコケてミスをする。強い人はリズムを外すのが得意だ。逆に、外された方が無理な体制からのスーパーショットが決まったりする。リズムを崩した方が、逆に崩される。それもまたスポーツの醍醐味である。
リズム感のある人は、スポーツが得意だ。そしてリズミカルな練習、非リズムカルな練習を組み合わせ、試合になったとき、それらの練習を応用して、相手のリズムを外してくるのだ。自分のリズムを崩しておいて、相手のリズムを崩すという戦法だ。
それゆえ、マイペースを保つのも良いのだが、もっと良いのは、相手のペースを崩すことなのだ。敵のリズムを知り、敵の思いもかけぬリズムを、受け流し、こちらのリズムで相手を打ち崩す。
ビジネスにおいて、リズムが良いときには、そのままのペースを崩さない方が良いだろう。しかしリズムが悪いと思ったら、それを変えるためには、一度リフレッシュして休むのもいい。あるいは2拍子のダンスを、一度平手で叩いてワンクッション置いて、いきなり3拍子に変えてみるのも良い。
リズムは練習によって身に着く。ビジネスにおいて練習とは場数に他ならない。色々と自分の中で引き出しを持つことが必要だ。
[教訓]
〇強者はリズムを崩すのが上手い。
〇ビジネスもリズム感とペースを大切にせよ。