宮本武蔵に学ぶ、
「構えがあって、構えがないというのは、太刀を形にはまって構えるということは、あるべきことではない。」
「太刀は、敵の出方をきっかけとして、その場所により、状況に従い、どのように持とうとも、敵を斬りやすいように持つことである。・・・このようなわけで、構えというものは、あってないという理になる。」
「太刀にとっては、どんなことをしても、敵を斬ることが重要である。もし、敵が切りかかってくる太刀を、うつ、あたる、ねばる、さわる等ということがあっても、それはすべて敵を斬るきっかけであると心得よ。」
「受けること、うつこと、あたること、ねばること、さわることに思いを寄せているならば、敵を斬ることはできなくなる。何事も斬るためのきっかけであると思うことが大切である。」
(解説)
構えは、斬るためにするのであって、構えのための構えは不自然なことだ。全ては斬りやすいように構えろ。これはすごい合理的な考え方だ。
大量生産、大量消費型のサービスでは、どうしてもマニュアル化は避けられない。しかしマニュアル化は柔軟性を犠牲にして、対応を硬直化する。今でも、マニュアルにないことは個別で検討して対応することはあるだろうが、その対応が増えてくると、またマニュアル化されていく。これはやむを得ないことでもある。スタッフが増えてきて、勝手にやられてはどこかでトラブル。
これからは、大量生産、大量消費型のサービスは相対的に少なくなっていくだろう。どちらかというと、これを作りましたから買ってくれ、というのは企業側のエゴともいえるものだった。大量生産をした方が、それだけ商品単価は安くなり、消費者が手に入りやすくなる。どうしても安くなければ手に入れられない消費者はいる。しかし安いよりも、自分にフィットしているかどうかという、顧客カスタマイズ型サービスも、今後は増えていくと思われる。それは、画一化は難しく、大量生産にも向かない。大量販売はできないから、マニュアルは最低限のものでしかなくなる。どちらかというと顧客に対応するスタッフ自らが、簡単なマニュアルや経営理念に沿う限り、創意工夫をして、対応していくスタイルになっていくだろう。その方が、むしろ自然にサービスが提供できる。
また、お客から色々な要望があるであろう。しかしその要望は、全て顧客満足を高めるためのきっかけであって、要望を聞くことだけが仕事だと思い込んでは、お客様に満足するサービスは提供できない。要望を聞いて、答えを出していかなければならない。お客様の声とは、モノを売るためのきっかけなのだ。
[教訓]
〇顧客カスタマイズ型サービスはこれから増える。マニュアルや経営理念に沿っている限り、スタッフに自由度の高い創意工夫と意思決定を委ねよう。それに対応できる人材を採用し、育成しよう。
〇お客様の声はモノを売るためのきっかけだ。サービス提供側のパフォーマンスであってはいけない。しっかりと対応して、サービスの向上につなげよ。