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ビジネスに役立つ見ると観るの違いとは

宮本武蔵に学ぶ、

「戦いの時の目の配り方は、大きく広く配るのである。眼には観の目と見の目とがあるが、観の目を強くし、見の目は弱くする。」

「離れた所の動きをはっきり掴み、また身近な動きにとらわれず、それを離してみることが兵法上、最も大切である。敵の太刀の動きを知るが、少しも敵の太刀の動きに惑わされないことが兵法の大事なのである。」

「こうしたことは、忙しいときに急に身につけることはできない。ここに書いてあることをよく覚え、いつもこの目つきとなって、どんなことがあっても目つきが変わらないように、十分に修練すべきことである。」

(解説)

見ると観るは異なる。前者が、見物する、見学する等、視覚でモノをとらえるのに対して、後者は映画やスポーツ鑑賞、観光等、周囲を見渡す場合に用いる。余裕があり、幅広にという意味では観るとなる。従って、ビジネスにおいては、「観の目を強くし、見の目は弱く」した方がいい。全体のマーケットを全体眺めた中で、競合他社と自社のポジションを確認する。それは「観る」のである。

剣術であれば、相手の太刀ばかり見ていても、その太刀の予測はできない。相手の足とり、構え方等、相手の位置や状況を「観る」ことによって、太刀の予測がより正確に把握できるようになるのだ。

ビジネスを行う上で、マーケット全体を見通さないと、自社、競合他社の様子がよく見えない。競合他社の価格攻勢が激しい場合、その競合他社がやりすぎなのか、マーケット自体がそうなのか、によって、こちらの対応も変わってくる。多少遠めでマーケット全体を観ることが大切だということなのだ。共に価格競争で相手の動きに追随するのも戦略の一つだし、あえて価格は下げず、サービス内容の質を高める工夫が必要かもしれない。顧客が何を望んでいるかが重要だ。競合他社の安さに反応して、自社への来店が鈍ってきたら、その競合と自社は完全な競合であって、しかも顧客もダブるということかもしれない。あまりに安値合戦になってきたら、ドラスティックに顧客自体をシフトするという戦略を取らざる得ないこともある。

観るという癖をつけるには、忙しいときにはなかなかできない。普段から意識をしておくことである。そして見るのは主観。観るのは客観だ。

[教訓]

〇競合他社を見るのではなく、マーケット全体を観て判断せよ。

〇観れば、相手の本当の意図が見えてきて、こちらも対抗戦略が考えやすく、的を得たものとなり、効果的なものとなる。

〇見るのは主観。観るのは客観。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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