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部下を効率的に成長させる方法

宮本武蔵に学ぶ、

「世に兵法者と言われるものは、誰も彼も兵法の働きを末梢的なテクニックに走り、・・・小手先の器用さだけを得ようとしている。」

「わが兵法にあっては、数度の勝負に命を賭けて打ち合い、死ぬか生きるかの道理を知り、刀の道筋を覚え、敵の打つ太刀の強弱を知り、太刀筋をわきまえ、敵を打ち倒す鍛錬をしようと言うのに、このような小手先だけの小さな弱々しい技では、到底問題にならないところである。」

「さらに命がけの戦いで、一人で五人、十人とも戦い、確実に勝利する道を知ることが我が兵法なのである。従って、一人で十人に勝つことも、千人で万人に勝つことも、何らの違いはない道理である。・・・例え一人で太刀をとっても、そのときそのときの敵の計略を見抜く、敵の強弱や手段を知り、兵法の知恵の力をもって、万人に勝つところを究め、この道の達人となることができる。」

「自分はいずれも極めようと確信して、朝に夕に鍛錬を積み、技を磨きつくして後に、一人思うままとなり、自然に奇特な力を得て、自由自在の神妙な力を持つことができるようになるのである。」

(解説)

武蔵が五輪書を書いた時代は、徳川家光の時代で、剣術はもはや戦うものではなくなっていたのだろう。それゆえ 、他の流派では 構えや型にこだわるようになっていた。

実益のないことをやらせるのは、受験勉強も似たところがある。建前としては優秀な学生が優秀な会社に入社するために、まず優秀な大学に行くことなのだが、それが仕事ができるとなぜ言える?仕事と勉強は緩やかな比例関係にしかない。全く関係ないわけではない。例えば受験勉強に耐え抜く精神力、情報解析力等、仕事でつかえる能力もないとは言えない。しかし、そんなことよりは、飲食店でバイトした方が、将来飲食店を開業するのであれば、はるかに時間の無駄がない。

ビジネスの能力を高めたいのであれば、さっさと実務に取り掛かり、一つ一つの問題点に対処した方が実力が付くと思われる。実務をこなし、責任を負う。これだけが人を成長させる。

武蔵の兵法はまさに敵を斬ることにある。そして勝利することにある。命がけでの戦いの中で初めて意味がある。一人で一人の相手に対峙する時も、敵の考えを見抜く、敵の手段を知る、そういったことが複数人と戦う時にも生きるし、複数人同士で戦う合戦の場合にも生きる。

武蔵は実践や鍛錬を続け、自然に人を斬れるまでの境地に達することができた。ビジネスにおいても息を吸って吐くぐらいの自然さで、淡々とこなせるようにしたいものだ。それには実務を淡々とこなすのが良い。テクニックなど二の次なのだ。

[教訓]

〇ビジネスの能力を高めたいのであれば、教科書を読むひまがあるなら、さっさと仕事をするのが良い。実務をこなし、責任を負うことで初めて人は成長する。

〇息を吸って吐くかのごとく、自然に取り組めるようになるまで、ビジネスをこなせ。無心でできることが、もっともその人にとっての天職ともいえる。極めたビジネスということだ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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