織田信長に学ぶ、
「器用というのは他人の思惑の逆をする者だ。」
(解説)
信長の言う「器用」とは、人と異なることを考えられ、行動ができると言う意味である。世間で言うところの器用貧乏にはあまり良いイメージがなく、この場合は大成しない人の代名詞になっている。
経営戦略の用語で、レッドオーシャン戦略とブルーオーシャン戦略というものがある。人と同じことをする、つまり信長の言うところの器用でない人は、レッドオーシャン市場へ参入する。つまり、みんなが参入している市場だ。飲食店は参入障壁が比較的低く、誰しも参加しやすいがために競争過多となる。新規参入してくるために、能力がない人、運が悪い人は儲からずに市場からの退出を迫られる。
ブルーオーシャン市場は、競争のない未開拓市場である。そうであれば、誰も考えたことのないビジネスを始めればよいのかと言うとそんな単純でもない。そもそもあなたが始めた新しくて画期的なビジネスの大半が、顧客がそんなもの欲していないものばかりである。あるいは、既得権者から妨害され、次々と潰されてきたビジネスであると言えよう。特に後者のビジネスをやろうとする人間は、単なるバカとのそしりを免れない。既得権を破壊するためには強力な政治力が必要だ。
競争相手のいない領域であっても、顧客ニーズはなければならない。そのため、既にあるビジネスの中で、何かを減らしたり、取り除いたり、あるいは特定の機能を増やす、新たに付け加えることで、価値を高めていくことが必要になる。
マイケル・ポーターの競争戦略によると事業成功のためには低価格戦略か差別化(高付加価値)戦略のどちらかを選択する必要があると言われるが、ブルーオーシャン戦略では、低価格戦略も高付加価値戦略もいいとこどりできる余地があると言える。
「他人の思惑の逆をする」と言っているくらいだから、思惑をする人が既にいる、つまりそのビジネスは既にあることが前提となる。ニーズがないということであれば、誰もその思惑を持っていないことになるからだ。信長の先見の明はこんなところにもあるのだと改めて驚かされるのである。どちらにしても、自分でお金を持っている場合はいいが、誰からか資金調達を考えているのであれば、全く新しいビジネスはやめておいた方がいい。理解できないことに金を出すような物好きはいない。
[教訓]
〇人とは異なったことを考え、そして行動せよ。
〇全く新しいことではない。既にあるビジネスを少し軸を変えて望め。
〇この世にないビジネスはとりあえずやめておけ。資金調達はできない。