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組織の不正を防ぐ仕組みの作り方

織田信長に学ぶ、

信長の予測通りに、大獄砦の陥落を知った義景は、撤退を決断した。それをみて信長は朝倉軍を追撃。義景は一乗谷城へ帰陣。当時朝倉氏と同盟関係にあった平泉寺を頼りに再起を期そうと考えていたが、実は秀吉の事前工作によって、平泉寺の僧兵は信長側にあった。

義景は一乗谷の館からも徹底し、山田庄六坊へ退去。そして、義景の従妹であった景鏡の手勢に囲まれ、義景に切腹させた。そして景鏡は義景の首を持参し信長に降伏した。

信長は越前全土を平定する。

(解説)

事前工作によって味方を増やしておくのは、戦国時代ならではである。常に先手先手を打っておくことの重要性を改めて教えさせられる。

しかし従兄弟とはいえ、命欲しさに簡単に主君を売るとは。味方の中にこそ敵がいると思っておいた方がいい。表立って敵であれば対処しようはあるだろうが、味方の中の敵には対処しようがない。この点については技術流出で問題視される。そして技術流出には過失と故意がある。さて、技術流出の形態を以下見てみよう。

  • 契約の不備や契約管理上の不備による技術流出
  • 製造や取引のプロセスに係る管理上の不備による技術流出
  • 営業秘密・企業秘密の管理上の不備による技術流出
  • 人を通じた技術流出

この中で、今回は故意に関する「人を通じた技術流出」について考えてみよう。典型的には従業員等による不正な情報の持ち出しや、転退職に伴い人に帰属する情報やノウハウの流出である。情報セキュリティの強化で多くの部分を防ぐことはできるが、管理権限を与えられている人間が悪意で行う不正や、転退職を防ぐことはできない。契約上は、次の転職先に対する競業避止義務や秘密保持契約を締結することは可能だが、その内容や効果については不十分と言わざるを得ない。

特にグローバル企業の場合、日本人の技術者を高額給与で引き抜くケースがある。お金がもらえるからと言った安易な考えや、高い役職につられるケースもあるだろうが、外資系は所詮外資系だという気持ちを持たなければならない。技術を転職先の会社で吸収しきったら、おさらばなのだ。ここまでくると日本人としてのプライドを持たせるしかないと思うが、現実的には引き留めるのが難しい。日本メーカーの魅力を取り戻すしかない。

小さな企業では、特に飲食店では、バイトテロも一種の味方の中の敵だろう。損害賠償請求をしっかり行って、償ってもらうしかない。また、レジの現金のちょろまかしのようなものも発生する。こういったことは二重チェック体制を作る、現金出納帳の管理などで、不正を防ぐことができる。不正をさせない仕組みを作ることが、何よりも大切である。不正はできてしまうからついついしてしまうという側面もある。

なぜ味方の中に敵がいるかというと、別に敵が悪いのではない。敵を作るのは経営者自分自身であると心得よ。一言で言うと、あなたが頼りないからだ。思ったような結果を出さないからだ。裏切り者のせいにしてはならない。

[教訓]

〇味方の中の敵を発見せよ。

〇不正のできない社内管理の仕組みを作れ。

〇不正ができないようにすることが、なによりも従業員にとっての親切だ。魔が差すことは誰だってある。

〇そもそも味方の中の敵を作ってしまうのは経営者自分自身。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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