織田信長に学ぶ、
水中に大蛇がいるという噂の池があり、信長が水中に入って大蛇を探そうと言い出した。しかしどうにも大蛇は見つからず、清州へ帰った。
その頃、佐々成政が信長に逆心を抱いているとの風説があり、成政は起き上がれないほどの重病と偽って、出ていかなかったが、蛇替えのついでに成政の城を見ようなどと言って、爪腹を切らせるのではないかと心配した。
家臣が、信長が城を見たいというのであれば、舟に乗せ、自ら懐中に小脇差を隠しておき、好機を見て船の上で飛び掛かりますからご安心くださいと申し上げた。
信長は例の池からどこにも立ち寄らずに帰った。一城の主は、万事に注意して油断をしてはならない。
(解説)
上の話は、もし仮に蛇替えのために訪れた土地で、ついでに佐々の城に寄っていったら、その家臣に信長は殺されていたかもしれないということである。実際に立ち寄って本当に信長が殺されたかどうかはわからない。しかし、結果として、信長はついでに佐々の城に寄るということはしなかった。
目標を達成するときに脇道が気になることがあるが、それには目をもくれず、一つの目標だけを見つめて、それに目掛けて突き進むと良い。途中で寄り道していると、変なリスクを背負うことになる。
往々にして、経営者は目標自体がぶれる。売上自体が思ったほど上がらない、という方がまだましだ。一番やってはいけないことは、初心を忘れて、思ったほども売り上げが上がらないということを理由に、色々なビジネスをつまみ食いすることだ。一つのことがダメなら次のこと、次のことがダメならまた別のこと。色々なことに手を出したその結果、どれもこれも上手くいかないので、また振り出しに戻ってくる。いわゆるネタ切れと言う奴だ。ネタだけがヘビーローテーションして、事業は全く進展しない。最初のことも上手くいかないのに、次のことが簡単にうまくいくわけはないのだ。石の上にも三年とはよく言ったもので、一つの物事はまず諦めずに3年やってみることだ。それでもダメなら別のことを考えても遅くはない。
新規事業の芽は半年くらいで見えては来るが、本当の結果は3年後にようやく花開く。それくらいの気持ちが必要だ。
[教訓]
〇一つの目標に向かって突き進め。
〇ついでにあれもこれもと最初のうちは広げるな。
〇たくさんのことをやりすぎると、突然のリスクに出くわして、やけどを負うことがある。