世界の歴史を題材とした起業家応援メディア

地の利の活用法

織田信長に学ぶ、

織田信長は本願寺を攻めあぐねており、本願寺の主力となっていた雑賀衆の本拠である紀伊雑賀に狙いをつける。兵員や物資の補給拠点を攻略すれば、大阪の本願寺勢の息の根を枯らすことができると考えたのだ。しかも1577年2月までに雑賀五組の内三組を寝返らせることに成功する。雑賀三組の協力を得られることになり、織田勢は山手と浜手の二手に3万の兵を投入して侵攻を開始。

山手先方の堀秀政が雑賀川の渡河を試み、雑賀勢は雑賀川の底に、逆茂木、桶、壺、槍先を静めておき、渡河の妨害を図った。織田側が川を渡ろうとすると人馬が足を取られて前進できず、川を越えた者も湿地帯で動きが鈍っているところに、鉄砲で狙い撃ちされ、多大な損害を受けて退却。その後、ゲリラ戦に持ち込まれ戦局は膠着状態となる。

雑賀侵攻の結果は、信長が大軍を紀伊に長期間置いておくわけにはいかなかったため、講和と言う形になり、撤退した。

(解説)

信長の圧倒的な兵力をもってしても、数千しかいない雑賀衆を圧倒することができなかった。雑賀衆の強みは、地の利にあった。まず川の底にモノを置き、スムーズな進行を阻止したこと、次に、これは雑賀衆の作為ではないが、湿地帯で足がとらわれることを知っており、鉄砲や矢といった飛び道具で、小が大を制した形だ。

現代社会で言えば、チェーン店がおらが町にやってきて、地元の店が戦々恐々しているのだが、地元の人に愛することを真剣に取り組んでいさえすれば、チェーン店が思ったよりも売り上げが上がらず撤退するというシチュエーションに見える。

東京へは各地方から人が出てくるので、客の属性は比較的平均化していると言える。もちろん町によってはそこに住む住民の色はある。どちらが良いとか悪いとかではなく、代官山と平和島ではやはり住む人種は異なるし、それぞれに合ったサービスの提供の仕方は避けられない。

田舎では、特に閉鎖性が強いため、いきなりブランド力の高い大資本が参入しても、地元の人に愛されるとは限らない。しかも懐に入るには、時間をかけて信用される必要がある。いくらブランド力があっても、物珍しさで利用することはあっても、継続的に利用するかはわからない。チェーン店でも地元の人が運営していればまだしも、都会の人間がいきなり店長をやらされても、その地元民の心をつかむことはできない。

だから、大資本が入ってきても何らビビることはない。普段から地元民に愛されるサービスを展開していれば、何の問題もないのだ。当然、地元民相手にぼろ儲けしているとか、愛を感じないようなビジネス展開をしていれば、新規の参入によって、しっぺ返しを食らう。

[教訓]

〇地の利を生かせ。

〇地元民に愛されるのは、地元民にはかなわない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
SNSでフォローする