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リーダーと部下の見えている景色の違い

織田信長に学ぶ、

信長は本願寺の挙兵に危機感を強め、出兵を決意する。その際に「一般の信徒の男女は赦免するので城を出るべき」との立札を立てよと命じ、長島一向一揆や越前一向一揆とは異なる対応を示した。当然指導者である坊主は許すなともしている。

本願寺攻略を困難と見て、まずは三津寺占領の作戦に出て、本願寺側は鉄砲を用いて対抗。塙直政が戦死、一気に軍が崩れる。ここで信長が京都より3千の兵で進撃を開始、1万2千とも言われる本願寺勢に立ち向かう。味方の兵とも連携し、数の上でははるかに勝る敵に対し、家老たちは「多勢に無勢」と止めたが信長は「今敵が間近にいるのは天の与えた好機」として、突撃。大きな犠牲を払ったものの、織田軍の大勝で幕を閉じた。

(解説)

長島一向一揆や越前一向一揆は皆殺しであったが、その点は信長も反省して、「一般の信徒は殺さないから、城を出ていきなさい」とのお触れを出した。戦う気のない者で、逃げるものを殺しても怨念だけが増えていき、ろくなことはない。祟りとはいうものの、死者からのマイナスエネルギーではなく、生き残った者の憎悪の方が統治をする上で問題となる。

余分な恨みは買うべきではない。巡り巡ってどこで暴発するかはわからない。やむを得ないこととは思うが、近年、優良企業の人減らしが問題になっている。個々人を切り捨てても会社を守らなければならないのは当然の話である。無理して個人を守っていたら、全員を路頭に迷わせてしまう可能性がある。致し方がないことだ。もちろん当事者としては、優秀な大学を出て、優秀な会社に入って一生安泰だと思っていたのに、と愚痴もこぼしたくなる気持ちもわかる。しかしもうそういう世の中なのだと覚悟をしていくしかない。ある意味では学生のうちにその人の人生の一生が決まってしまうのも合理的ではない。常に競争社会がいいとは言えないが、社会人になってからも気が抜けない競争社会の方がよほど合理的である。いくらでも下克上のチャンスがあった方が、一生面白いではないか。

後はやめさせ方の問題だ。現在は労働法の問題で人を切りづらくなっているから、あの手この手と企業は考えてくる。基本的には、社内移動によって、辞めさせたくなるような仕事をさせて、自主的に退職することを待つ。あるいは給料を部署移動も絡めて下げる。労働法を改正し、企業が辞めさせやすいようにしなければ、恨みつらみがたまっていく。それに首にしやすければ、採用だってしやすいわけだから、会社に適合しない人材はどんどんおやめになっていただいた方が、適材適所となるし、労働者にとってもその方がいいと思う。

今は、切りづらいから、会社都合ではなく、退職希望者にするように気を使わなければならない。人事が本当はこんなことはしたくないんだが、と、本当に思っている人が大半だと思う。明日は我が身かもしれないのだから。優良企業だとやめさせづらい、なぜならば従業員はその企業に残った方が何かといいからだ。優良企業でない場合であれば、社長がハートをぶつけて謝罪すれば、比較的穏便に退職してもらえたりもするし、社長が自ら転職先を紹介すると良い。気持ちだけでもいいのだ。そこまでしてくれたことに感謝する。一番やってはいけないのは、ずるずると引き留めて、給料を払えなくなる場合だ。お金の恨みほど大きなことはない。お金が払えなくなる前に、早めに対応しよう。

話は変わって、後段にあるように、部下が「多勢に無勢」と諫めるのに対して信長は「天の与えた好機」と疑わず攻撃する。リーダーとリーダー以外では見えている景色が違うのだ。少しでもチャンスがあれば突撃するという覚悟は必要だ。

[教訓]

〇恨みのないような人の辞めさせ方を。できる限りのことはしてあげよう。気持ちでいいのだ。

〇リーダーとそうでない者は見ている景色が異なる。それを理解した上で、突撃するタイミングを心得よ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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