織田信長に学ぶ、
「人城を頼らば 城人を捨てん。」
(解説)
この意味は、城を守るのは人であって、城自体は人を守ってはくれないということだ。城は攻めづらい構造にはなっている。中国の城は、まず壁が高く、扉は頑丈。そこで攻撃側は 扉を破城槌で城門を破壊し突破、壁は投石機で破壊。あるいは、雲梯や攻城塔でよじ登り、城内へ突撃する。日本ではその前に堀を埋める作業もあるが、そんなものは時間と手間と埋める材料で埋まる。堀は敵の侵入時間を遅らせるだけにすぎない。その後は城の中に侵入されないように人が敵を倒さなければならない。いわゆる攻城戦だ。
現代社会においても、会社を作るのは人であり、会社を育て、会社を守るのも人だ。しかし自動的に会社が人を守ってくれるかと言うとそんなことはない。ここ最近はロートルを首切って、会社の安全弁に使おうという動きが加速している。だから会社は人を守ってくれないということに気づくべきだ。
高度成長期の日本の会社は、戦国時代の城に等しかった。君主もしくは城主(代表取締役)がいて、武将(取締役、部長等ミドルマネジメント)がいて、雑兵(従業員)と言う構成だった。雑兵の中でも武士は従業員で、突如駆り出される農民はアルバイトかフリーランスといったところだろう。そうして、城主に絶対的な忠誠を持っていた(もちろん君主や城主の徳にもよるが)。
戦では武将や兵は城主や君主(戦国大名)に命を捧げた。今のサラリーマンでも過労死で命を天にささげてしまう人はいるが、もちろん普通であれば命は捧げない。しかし命の次に大切な自分の人生を預けた。高度成長期の時代には会社が傾くということがなかったから、戦国時代のように負けたら腹を斬るなんて必要もないし、昔の城主や君主は、一般人を助けることを前提として腹を斬るような状況にはならなかった。今はいつの間にかに、自分たちの保身活動の方が精一杯で、自分の腹を斬るような状況にもかかわらずそうしようとすらしない(別に自殺をしろとは言っていない)。むしろ、従業員を追い出すか、腹を斬らせることに精いっぱいになっている。しかも自分たちと城を守ることが第一になっている。
やむを得ないと言えばやむを得ないのだが、日本の経営的な強みが一気に失われる状況が目の前に迫っていると言える。今後、人数の最適化が加速していくだろう。労働者としては、自分は会社を守らなければならない立場にあるが、会社は守ってくれないことを自覚し、小さくても一国一城の主になるようにシフトしていかなければならない時代になってしまうだろう。正社員になったからと言ってもはや安泰な時代ではなくなってしまった。
自分が一国一城の主になれば、少なからずその城は守られる。なぜならばその城をあなた自身が守るからである。その城こそが会社であって、自分の仕事をするという起業なのだ。
[教訓]
〇人が会社を守るが、会社は人を守らない。
〇自分が一国一城の主になれば、その城は守られる。なぜならばその城はあなたが守るからだ。