「慎重もええが、思いきったところがなきゃいかん。慎重は下僚の美徳じゃ。大胆は大将の美徳じゃ。」
(解説)
事業にはアクセル役とブレーキ役が必要だ。経営陣が全員アクセル役だと暴走してしまうし、全員ブレーキ役だとそもそも何も進まない。世の中の多くの組織が、おそらく代表がアクセル役で、副代表がブレーキ役の方が望ましいとも言えそうだが、恐らく一番望ましいのは、事業推進役がアクセル役で、財務担当がブレーキ役といったところではないか。通常は前者が代表で、後者が副代表の事が多いだろう。
ブレーキ役は止めることが仕事なのではない。ベンチャーにおいてはアクセルを全開にし続けていることが大きなカギになる、F1がコーナーでライバルを抜くために、コーナーを曲がる前で減速するときも、なるべくブレーキングを始めるタイミングを遅らせて、短い時間と距離でコーナーを曲がるのに適切なスピードまで減速している。
このときに、ブレーキを踏む地点をおくにしすぎて減速しきれずにコーナーで外側に膨らみ、曲がり切れずにコースの外側に飛び出したり、挙動を乱して逆にスピンして、ライバルに前を行かれてしまうこともある。ブレーキングがうまいドライバーこそ、実は早いドライバーなのだ。
最も速い速度を保てるブレーキ役がベンチャー企業に求められるブレーキ役である。だから、どんな新規事業をやっても、ダメダメ言ってる奴は良いブレーキ役ではなく、単に邪魔なだけなのだ。
ディズニーランドを作った、ウォルト・ディズニー(弟)とロイ・ディズニー(兄で財務担当)の関係もまさにこのような関係であり、ロイがウォルトの夢をかなえるために、止めるのではなく、加速させた関係だ。
リーダーは大胆に、スタッフあるいはパートナーが慎重に。こういう関係になるのだと思う。
[教訓]
〇事業にはアクセル役とブレーキ役が必要。
〇事業のブレーキ役は止める役ではない。最速で走れるようにブレーキング技術の優れた人材だ。