偏ってはならず、傾いてもならず、王者としての正義に従わなければなりません。悪事を働いてはならず、王者としての正路に従わなねばなりません。偏することなく、党することがなければ、王道は蕩々として平らかであり、党することなく偏することがなければ、王道は平々として治まります。仁君は、背くことなく、それることがなければ、王道は正直であります。人君は至正の道にかなった人君について、これに仕えなければなりません。
(解説)
経営者はバランス感覚が必要だ。バランス感覚と一言でいうが、どんなものなのだろう。
(a) 視野が広いこと
視野とは、思慮は知識の及ぶ範囲のこと。そして俯瞰力、つまり全体を見渡す力の事だ。流石に経営者で、一部署の事にしか頭になかったら、会社は回らなくなる。通常のサラリーマンでは視野の狭い人にはその視野に見合った責任しか与えられない。これは経営者にも言える。視野の狭い場合には、その視野に見合ったマーケットでしかビジネスができない。
(b) 自分を変える力を持つこと
自分のやったことないビジネスを、できません、と言っていたら仕事は来ない。上司に言われたこと、客に言われたお願い事を何でも聞いて、どうやったらその仕事ができ、上司やお客様に満足してもらえるのかと考えれば、否が応でも自分は変わる。すぐにできなくてもいい、時間をかけてなんとかできればいい。
(c) 相手の事を考えられること
相手の立場になって考えることが必要。相手が忙しいか忙しくないかをお構いなしにすぐ電話をかけてくる人がいるが、これは上司であろうと、お客であろうと同じ。このようなお客は相手の事を考えられない人だから、仕事のできない人だと思った方がいい。上司なり、同僚なり、些細な連絡事項で、連絡を取ってくる人は迷惑でしかない。相手の気持ちに立って物事を考えられるようにならなければならない。
(d) 仮説思考を持っていること
仮説を立てて物事、人にアプローチできる人にならなければならない。当然、考えるだけではなく、検証し、分析し、行動を取る人が必要。仮説思考というのは明確な情報がないうちに仮の結論を出すことができる。
(e) 人に相談できること
自分で何でも解決できるほど世の中は甘くはない。だから色々な人に相談すれば解決策が生まれる。
(f) 優先順位をつけられること
一番大切なことがおざなりになってしまってはいけない。簡単にできる仕事からこなすことも一理あるが、それが今すぐ必要な仕事でないなら、後回しにすべきだ。
[教訓]
〇経営にはバランス感覚が必要。
〇バランス感覚は、視野が広いこと、自分を変える力があること、相手の事を考えられること、仮説思考を持っていること、人に相談できること、そして優先順位がつけられること。