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お互いにまだ実績が乏しいうちに、パートナーとなれ

子楚は妾腹の子であり、他国に人質となっている身分だから、車馬や財用が豊かでないばかりか、日常生活も苦しく不如意であった。たまたま呂不韋が商用で趙の都の邯鄲に言ったとき、子楚を見て憐れに思い、「これは奇貨だ。買い入れておいた方がよかろう」と子楚を尋ねて、「私はあなたの門戸を盛大にしてあげたいと思います」と言った。
子楚は笑って、「まず君の門戸を盛大にしたうえで、私の門戸を盛大にしてほしい」というと、「あなたはお分かりでないのです。私の門戸は、あなたの門戸が盛大になるにつれて盛大になるのです」と言った。

(解説)
子楚は、嬴政(のちの始皇帝)の父親であるが、当該列伝を読む限り、趙姫(呂不韋の愛人)が呂不韋の子を身ごもった後で、趙姫を子楚に献じているため、嬴政は呂不韋の子のようにも思える。ただ、現在では嬴政が呂不韋の子であるという説は、現代医学上否定的に解されている。

後に、趙姫と嫪毐(ろうあい)が反乱を起こし、趙姫と嫪毐の接点を作ったのは呂不韋であったために、服毒自殺を図った。

さて、呂不韋は、安国君の20人以上の子の一人にすぎなかった、趙で人質になっていた子楚(始皇帝の父)に目を付け、囲い込んだ。そのとき、呂不韋は商人にすぎず、また力が乏しかったためか、子楚は呂不韋がもっと力を付けてから、支援してほしいと言ったが、呂不韋は子楚が大きく成れば、自分も大きくなると言ったのだ。

誰しも成功者に取り入りたいと思うが、才能があるが、今はまだそれほどでもない人間をいかに見出すかで、その人の人生は決まる。すでに成功していれば、ちっぽけな人間はもとより相手にされないだろう。だから、まだお互いが小さい同士の方が、しっかりとしタッグを組める。そして、どちらもお互いに気兼ねすることもなければ、上下関係もない。この方がパートナーとしては上手くいく。どちらかが成功してしまっていて、レベルを異にすると、どちらかが上と下、と言う関係になり、上手くはいかないのだ。

[教訓]
〇お互いにまだ、実績がないときにパートナー関係を結べ。
〇力関係が対等な方が、良いパートナーになる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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