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頭が良ければいいではない

趙括は若い頃から、兵法を学び兵事を論じ、天下に自分以上の者はいないと自惚れていた。奢は「戦とは生死のことだのに、括は気軽に言っている。・・・」

 

括がまさに出発しようとすると、母が上書して、「括を将軍にしてはいけません」と言った。王が「なぜか」と問うと、「・・・当時、夫は将軍でありましたのに、自分の手でご飯を盛り飲み物を継いで、食事の給仕をしてやった部下が数十人もあり、友人としたものは数百人にも上りました。大王や宋室からの賞賜は、みな軍吏・士大夫に分け、出征の命を受ければ、その日から家事を顧みなかったものです。ところが、いま括が一朝将軍となり、東にむかって参朝しても、軍吏は誰一人仰ぎ見る者がありません。王から賜った金・帛は家にしまい込み、毎日、田地家屋の格安な買い物を探しては買いあさっております。・・・」

 

(解説)

世間的に頭のいい人たちとは、テスト勉強の得意な輩を言うようだ。まさに趙括とはそのタイプ。そして頭でっかちで「紙上に兵を談ず」。その結果、臨機応変に対応できずに、長平の戦いにおいて、秦の白起に破られ、20万もの投降兵を白起は生き埋めにしたと言われている。

 

頭のいい人の得意技はまさに机上の空論である。好き勝手に考え、好き勝手に言うものの、世間はそんなシナリオ通りに進むわけはない。

 

まさにマネジメントとなると、もっと話が異なる。名称であった父の趙奢は、部下と同じ立ち位置に立って、自分でご飯を盛ったり、飲み物を継いでやったりもした。さらに友人も多く、儲けはなるべく部下に分けてやっていた。こうまですれば、部下も意気に感じる。自分たちの儲けが上司が懐を肥やすのに使っているから、離反するのだ。

 

さらには格安な買い物を探して買いあさるなど、いわゆる転売ヤーである。そんなところで儲けたからと言って、生産的でもない。アンタしか喜ばない。だからみんなから批判を浴びる。需要と供給だと、理屈を垂れたところで、そんな頭のいいバカは誰も従ってはくれないのだ。

 

経営者は、自分のことよりも部下を思いやれ。そうすれば、いざという時に助けてくれるものだ。大変なときこそ、手助けしてくれる部下を何人持てるかが、経営の成功といえる。お金が儲かったときだけ、集まった成功は、本当の成功ではない。

 

[教訓]

〇経営者は常にスタッフの立ち位置にまで下がれ。

〇貯めこめば離反する。施せば、いざという時に意気に感じ助けてくれる。

〇上手くいっているときに人が集まるのは成功ではない。うまくいかないときに人が離れず助けてくれることが本当の成功である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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