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どんなに優秀でも動かなければただの人

そもそも人の言葉を聴き入れるのは、事の成る兆しであり、時機を見るのは事業成否の契機であります。聞くことを誤り、時機を失して、しかも長久安穏である者は稀であります。聴き分けて先後を誤らない者は、言説をもって惑わすことができず、時機の本末を誤らない者は、事例をもって惑わすことができあません。

かの甘んじて卑賤な労役に服する者は、万乗の君立つ権威を失い、恋々として一、二石の微禄を守るものは、大臣宰相の位に備わる資格に欠けたものです。だから決断は理知の判断であり、疑惑は事業の阻害であります。一厘一毛の小計を明細にすれば、天下の大計を忘れます。知恵ではよく承知しながら、決然として行うことができないのは、百時の禍根であります。だから「兇猛な虎も躊躇するときは、人を刺す蜂蠆の危険に及ばず、千里の馬も足踏みするときは、駑馬の並足に及ばず、勇敢な孟賁も狐疑するときは、凡人の決行に及ばず、舜・禹の知恵があっても口をつぐんで言わぬ時は聾唖の指図にも及ばない」と言われていますが、これは実行を貴ぶ意味であります。そもそも事業は成功しがたくて失敗しやすく、機会が得難くて失いやすいものです。まことに今が機会であります。機会は二度と来るものではありません。願わくはあなたにはこれを熟慮せられたい。

(解説)
蒯通が韓信の背中を押す言葉である。

自分が正しいと思い込み、誰の言葉も聞かなくなってしまっているときに動くと、大抵よくない結果になる。そこで他人のいう事を素直に聞けるときは、客観化のできるときだから、上手くいく兆しとも言える。事業が成功する、失敗するというのはまさにタイミングである。そのタイミングを計るときには、自分の直観も重要だが、人からの話も重要だ。他人の話を聞かずにタイミングを失えば、成功することもあり得ないし、上手く行っていたとしてもどこかでこけてしまうこともある。色々な人のアドバイスを聞けるときには、特定の人物のアドバイスに惑わされることもない。タイミングを把握できたときには、昔、それは失敗したという話を誰からか聞いたとしても、何のブレーキにもならないのだ。

そもそもサラリーマンの立場にいるうちには、リーダーになるチャンスもない(少ない)。そしてちょっとした月給で一喜一憂して、それをいかに増やすかということに固執して、たいして時給と言うのは増えるものではない。セコイ稼ぎにとらわれているものは、大きく稼ぐこともできない。

物事を何でも疑うのはよいことだが、疑うだけで何もしないことは、事業にとってのブレーキにしかならない。ハイリスク・ハイリターンであるから、危なっかしいことに手を出さずにちまちま稼いでいると、時間だけかかったまるで儲からない羽目になる。アイデアだけは出るが何もしなければ、いつまでたっても成功はしない。

どんなに優秀な人材でも躊躇して何もしなければ、凡才と何ら変わりがない。そもそも事業は成功するよりも、失敗の方がしやすい。そして機会がなかなかやって来ずに、見失いやすいものである。だから、目の前にチャンスが来たら、絶対に行動することが重要だ。今の月給にこだわるな。事業家たるもの、ささやかな背伸びでいいわけがない。遠慮なく稼げ。

[教訓]
〇他人のアドバイスを素直に聞けるときは、成功への第一歩である。
〇サラリーマンであるうちは経営者になれない。さっさとやめろ。
〇ちまちま稼いでいると、大きくは稼げない。従って、成功者にはなれない。
〇どんなに優秀でも動かなければただの凡人。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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