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自分ではなく会社に財産を残せ

ある卑賤な者が、「仁義等、俺たちの知ったことではない。俺たちは利益を与えてくれる人でありさえすれば、仁義に厚い有徳者だと思うだけのことだ」と言った。

朱家・田仲・王公・劇孟・郭解等の侠客があった。彼らは時に当時の法網をくぐることはあったが、しかしその義侠・廉潔・謙譲の徳は称えるに十分なものがある。名声は実質がないと立つ者でなく、実質がなければ人はつくものでない。仲間や豪族が徒党を組んで財産をむさぼり、貧民を役し、暴戻な手段で弧弱なものを侵し、欲をほしいままにして自ら快をするようなことは、游侠の徒もまた恥とするところである。

朱家は・・・人の窮乏を救うのに、まず貧賤な者から始めた。彼は家に蓄財がなく、衣服に飾りがなく、食事は味を重ねず、乗り物は軥牛に甘んじ、もっぱら他人の危急に赴いて、自分自身を顧みなかった。

「人、栄名を貌とする者は、あに既くることあらんや」

(解説)
結局は、金をくれるかどうかだけがそれが人徳がある人だと思うのが、一般人と言える。もちろん理屈や理想ばっかりで、一切報酬を払ってくれない経営者であれば、もちろんそんな奴は経営者ではないのだが、ビジネスのできない人であることは確かだから、有徳者でないことは確かである。経営者の徳とは道徳的にも優れ、そして人(従業員、業者)に仕事と報酬を与えられる人材のことを言う。ボランティア精神に優れた人は、別に有能な経営者でもなければ、徳のある経営者ではない。

優秀な経営者だからと言って、法のグレーゾーンで戦う人もいる。真っ黒でなければ、それは法律に違反しているわけではないのだから問題はない。塀の向こう側に落ちさえしなければそれでいい。とにかく、顧客の財産をむさぼったり、従業員に不当に働かせる(サビ残)等させなければいい。それは恥でしかない。

優れた経営者の条件としては、むしろ、困った人を助けることにある。その結果、従業員にはきちんと報酬を払ったうえで、自分の報酬は後回しにすることができるかである。結果としてもらうのは問題はない。しかしそれを前提としてもらうために、給料を下げたり、顧客からボルと言うのはちょっと違う。

最後の言葉は、栄誉や名声を身に着けておけば、その功績は永遠に残るということである。優れた経営者は功績を残せ。自分に対する財産を残さなくてもいい。もちろん会社に対しては財産は残せ。後世のために。その財産とは金銭的財産だけにあらず、むしろブランド等の無形資産のことである。

[教訓]
〇経営者の徳とは、道徳的に優れているだけでなく、きちんと報酬を払えるということにある。
〇法律を侵さなければ、グレーゾーンで戦う分には問題はなく、経営者の徳を傷つけるものではない。
〇経営者は困っている人こそを助けよ。困っていない人なんて助けなくていい。そこに商機を見出せるはずだ。
〇優れた経営者であれば会社に財産を残せ。自分に財産は残すな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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