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経営者に魅力があれば勝手に人は集まる

あるとき広が猟に出た。草原にあった石を虎と見違え、弓で射たところ、命中して鏃が石の中に没入してしまった。よく見ると意思であったので、また射てみたが、何度射てもついに射込むことができなかった。

広は訥弁で無口で、人と一緒にいる時は地面に線を引いて陣形を描き、また土地の広狭を計って的をしつらえ、競射しては罪杯の酒を飲ませた。・・・兵を率いては、水やモノの欠乏した砂漠の中で、水を見てもし卒が皆飲んでからでなければ水に近づかず、士卒がみな食べてからでなければ食べなかった。このように寛容でこせこせしなかったので、士たちは喜び楽しんで、彼の命に服した。

桃や李はもの言わないが、下に自ずと小径ができる。

(解説)
第一段目は、意識をしてやるとかえってうまくいかないという例だ。虎と思って射たら、石をも貫いた。しかしそれを石だと思って射たら、弾かれた。何事も無心になった方が上手くいく。考えているうちは気っとダメなんだとおもう。スーパースターはいちいち考えずに、体が勝手に動く、ある状況下になったら、ああしてこうしてそうする。という事を体が勝手にやりだす。その位に練習を重ねなければならない。究極は考えずにできるようにしておくこと。そうすれば無心でできるようになる。

第二段目は、李広の部下への接し方だ。どちらかと言うと口下手だったのかもしれない。弓矢は得意だったようだから、部下と休んでいるときも、仲間内でゲームをしていたのだと思う。部下との垣根をいかに作らないか。経営者だからと言って、威張ることもない。まあ、普通は部下の方が恐縮してしまうのだけれども。

そして、まず会社の利益が上がったら、自分からという経営者は、部下から愛されない。部下に利益を与えておいて、余ったら自分が取ればよい。そのような経営者のためならば、みな命を投げ出す、と言うのは言い過ぎだが、人生をかけて仕事をすることだろう。仕事が面白ければ頑張る、というよりも、むしろこの経営者とは一緒に仕事をしたい、といかに思わせるかではないか。もちろん一緒に仕事をしたいと思わせるような経営者の仕事は結構楽しいことが多いと思うが、いわゆる夢を見られる系の仕事である。

第三段目は、李広が無口でも部下が集ってきたことを言っているに違いない。優れた経営者であれば、ああだこうだ言わなくても、みんなが集まってくるのだ。花より団子かもしれないが、花見の季節には、桜や桃の下でゴザを引いて、みんなで一杯やっている。自然と集まってくる人の集団が、強固な組織になるのだ。それを集めるのが経営者としての人間の魅力だ。この会社、金になるからいる、世間的にいい会社だから、と言う理由だけで集まってきた人材は、最終的に大した戦力にはならない。

[教訓]
〇無心になったときにはじめて物事は上手くいく。
〇まずは利益は従業員に分配せよ。余ったら役員報酬を受け取れ。やることが逆だ。
〇経営者の魅力があれば、無言でも人は集まってくる。そのような集め方をせよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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