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危機的状況、平常状況で必要なリーダーシップは異なる

陸賈は折を見ては御前に進み、高祖に詩書を説いては誉めたたえた。高祖は陸賈を罵って言った。
「俺は馬上で天下を取ったのだ。どうして詩書などにあくせくしておれよう。」
「馬上で天下を取ったからとて、どうして馬上で天下を治められましょう。湯王や武王は逆道で天下を取りましたが、しかし守るときは順道で守ったのです。文武の道を兼ね用いるこそ、国家長久の術であります。・・・もし先に、秦が天下統一の後に仁義を行い、先聖にのっとっていたなら、陛下にはどうして天下をお取りになれたのでしょうか。」

「天下が安泰なら、万民は宰相に期待し、天下が危殆なら、万民は将軍に期待するものです。将軍と宰相とが調和すれば、士は慕うてこれにつき、士が慕うてつけば、将軍の絳候に変事が起ころうとも権力は分かれません。」

「沛公は、謹んで先生にお詫びをし、今やまさに天下の大事に専念しており、儒者に会ってといる暇はない」との事であります。
酈生は目を怒らし、剣を抑えて取次ぎを叱りつけ「急いで今一度沛公に取り告げ、わしは高陽の飲んだくれで、儒者ではない」と言った。

(解説)
第一段目は陸賈が劉邦に言った言葉。しかし、勉強形式と言うのが劉邦には受けなかった。それで「武」で天下を取ったのだ。「文」で天下を取ったのではないと言った。しかし陸賈は文武両道こそが大事。それが仁義に沿った国家運営になるという。心身ともに極めるつもりがなければ経営者としては失格である。考え、そして動く、この二つが大切。考えるだけでも駄目だ。

第二段目は陸賈が右丞相の陳平に言った言葉。普通の状態だったら、人民は宰相に期待し、危機的状況であったら、将軍に期待する。コロナウイルス問題でリーダーシップというモノの重要性が分かった。今の政治家には、宰相タイプしかいない。リーダーシップのある将軍タイプはいないのだ。少なくとも、経営においては、自らがどちらのタイプかを把握して置こう。大抵宰相タイプである。そうであれば、自らのリーダーシップを磨いておけ。少なからず、景気が悪いから儲けられないなどと言ってはいけない。

第三段目は、再び酈生の話だが、劉邦に初めて面会するときに、劉邦が儒者が嫌いだと知って、飲んだくれと伝えろと言ったのだ。奇抜なことを言わないと、天下の将軍様はあってくれない。時間がないのだから当然だ。自分を誰か意中の人にあわせたければ、常に奇抜でいろ。まともなことを言うな。

[教訓]
〇経営には文武両道が大事。どちらがかけてもいけない。考え、行動すること。
〇普通状況であればだれがリーダーをやっても同じだ。しかし危機的なときこそ、リーダーシップが問われる。
〇奇抜でいろ、ひたすら目立て。当たり前のことを言うな。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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