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ビジネスにおけるDOとDONTSの見極め方

塗に由らざる所有り、軍に撃たざる所有り、城に攻めざる所有り、地に争わざる所有り、君命に受けざる所有り。

(現代語訳)

通ってはならない道がある。攻撃してはならない敵がある。攻めてはならない城がある。地を争ってはいけない土地もある。そして受けてはならない君命もある。

(解説)

通ってはならない道とは、伏兵を恐れてのこと。攻撃してはならない敵とは、勢いを持っているとか、今の自軍では勝てないと思われる強敵であること。攻めてはならない城とは強固であって兵糧が充実し、陥落が困難な城。争うべきでない地とは、大して利益にもならない土地。そして君命ですら受けるべきでないときがあると言っている。

上記で言うところの通ってはならない道とは、会社にとって目指すゴールに向かうルートの中で選んではならないものである。新規事業であれば恐る恐るやっていくしかないが、いつもの仕事であれば、よほど不合理でない限りは同じやり方をした方がいい。新しいやり方にすると、思わぬ地雷を踏むことがある。

攻撃してはならない敵、攻めてはならない城とは、自社のサービスにそれほど魅力を感じていない顧客がいるとしたら、無理にその顧客にサービスを提供してはならないということになる。魅力が伝えきれなければ、思わぬ低価格合戦に飲まれることになる。

大した利益にもならないとは、あまりお金を持っていない、あるいはお金を出す気の顧客のことだ。安かろう悪かろうを心得ない顧客とは関わらないに限る。

また、君主の命令を聞かない状況があると言っている。戦争という現場にいる将軍が一番その状況を知っているのであろうから、遠い所にいて、現状を把握していない君主が将軍に指示したとしても、それを将軍が聞いてしまうとかえって軍隊が混乱することもあるのだ。

決して君主の言うことを聞く必要はないということではない。組織では現場のことは現場に任せた方がいい。現場のことを全てリーダーが把握することは難しい。組織がやるべきことは、現場を取り仕切る部下に対して権限を委譲することなのだ。

もう一つは会社ぐるみでの不正が良くニュースに上がるが、個人の良心に任せるが、違法行為やコンプライアンス上問題があると思ったら、できません、という勇気も必要だ。その組織を辞めさせられたとしても、自分の魂まで売ることはない。違法行為を行っている会社は早晩問題を起こしてどこかでダメになる。そのような組織の長も早く見切った方がいい。

[教訓]

〇儲からない顧客とは付き合わない方が得策だ。

〇組織は現場に権限移譲をすべきだ。

〇コンプライアンス上問題がある、違法行為を行う組織とは縁を切った方が身のためだ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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