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組織を一つにまとめる秘訣とは

人既に専一なれば、則ち勇者も独り進むを得ず、怯者も独り退くを得ず。此れ衆を用いるの法なり。

(現代語訳)

統制が取れた軍隊は常に一体となった動きを示す。勇気ある者も一人前進することはなく、卑怯者も一人退却することはない。集団を一つにして運用することが用兵の秘訣である。

(解説)

組織は集団だからこそ強い。ここで重要なポイントは、勇敢な者も一人で戦いに赴くでもなく、臆病だから逃げ出すわけでもない。勇敢な者も臆病な者の同じ組織の中で、全員が同じベクトルを向き歩調を合わせるということだ。組織のエネルギーを大切にしている。

組織の中で唯一、ワンマンプレーが許されるのは社長だけだろう。それも許されるのは中小企業だけだ。大企業でワンマンをやりだしたら、従業員は白ける。自分たちは給料をもらえているから、社長の張り切ってもらえばいいと思われてしまうと、組織として図体はでかいが、組織としての力を発揮できなくなってしまう。一糸乱れず動くことは大切なのだが、だからと言って、組織にいる人間が社長の操り人形になるのは組織として危険だ。

世間的に言う優秀な人、あるいは優秀だと勘違いしている人も含むが、組織にいると、自分が失敗したときにカバーしてくれるのはありがたいが、自分の頑張りが組織で発揮されない、あるいは報酬に跳ね返ってこないと思ってしまう。それはその組織から離脱する前兆となる。何をやろうにも上司にお伺いを立てなければ、いやお伺いを立てても動かないし、動いたと思っても自分が上に立たない限りは、人も思ったようについてきてくれないことに歯がゆくなる。

組織であるが故のメリットとデメリットがあり、それとうまく付き合っていかなければならないし、それはトップマネジメントでもミドルマネジメントでも、悩みは異なるがその方向性は同じだ。集団にいる以上、「個(=自分)」を殺さなければならない。本当に優れた社長は、一見目立っているように見えても、ワンマンなように見えても、案外我慢していることがある。無茶ぶりされて、好き勝手、どこが我慢しているんだい、と思う人もいるかもしれないが、部下にはわからない苦悩があるものだ。どんなワンマン社長だって、組織が自分の手足のように思い通りになるなんてことはないのだから。また、会社によって組織としてのメリットとデメリットはそれぞれ異なるから、あえて考えてみると良い。問題点を解決する一端が見えてくることもある。

リーダーは集団を一つの気持ちにまとめるのが大切であって、優秀な人材を上手く活用するも、勝手させてはならないし、会社に悪影響を及ぼす従業員にはやめてもらう必要があるが、臆病(有能でない)だからという理由だけで首にするわけにもいかない。必要以上に従業員を怯えさせ、組織としての求心力を失うことになる。組織はお互いに協力するから強力なのだ。

[教訓]

〇リーダーは優秀な人もそうでない人も、歩調を合わせて、組織が一丸となるように仕向けなければならない。

〇組織であるが故のメリットとデメリットがあることを心得よ。自社にとってはそれらが何なのかを深く考えてみること。問題点の一端が見えてくる。

〇能力がないからと安易に人を辞めさせてはならない。組織としての求心力が失われる。組織は集団として同じベクトルを持つから強い。一糸乱れぬ集団でなくなれば烏合の衆でしかない。

〇組織はお互いに協力するから強力なのだ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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