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失敗を計画に予め織り込め

敢て問う、敵衆整にして将に来たらんとすれば、之を待つこと若何。曰く、先ず其の愛する所を奪わば、則ち聴かん。兵の情は速を主とす。人の及ばざるに乗じて、虞わざるの道に由り、其の戒めざる所を攻むるなり。

(現代語訳)

あえて伺おう。敵が大群を編成し、平然と軍を整えて攻撃を仕掛けてきた。このようなときどのように待ち構えればいいのか。申し上げよう。まず敵の愛する場所を奪えば、兵力を分散される。形勢は逆転しこちらの思う通りになる。軍は迅速を第一とする。敵の準備が整わないうちに、その隙に乗じて、思いがけない方法を用いて、敵が警戒していないところを攻めるのだ。

(解説)

上記で言う敵の愛するところとは、穀倉地帯や、要衝となる地形、有力な軍事基地であり、奪われたくない場所のことを言う。従い、ビジネス上はその会社の収益の源泉と言える。

軍は迅速を第一とするとあるが、ビジネスでも迅速が第一である。ベンチャーマインドを持つ会社は「スピード」を大切にする。完璧よりもスピードだ。そうやって市場シェアを獲得している。特にネット系ビジネスでは、他社に先んじてマーケットを抑えることが必勝のポイントになる。

スピードを重視すると正確性は二の次になるが、取り返しのつかない失敗であれば、ビジネスコストと考えればいい。むしろ現代社会においては、失敗を計画に織り込んでおく必要さえある。

ソフトウェア開発に「アジャイル型開発」というものがある。従来はウォーターフォール型開発と言われ、予め全体の機能設計を済ませてから機能を実装しようとする。そうすると開発着手まで時間がかかり、テストで不具合が起きると、開発途中での仕様変更や追加対応が困難となる。企画、要件定義、設計、実装、テストと前後の工程が多少被るが、概ね一つの工程は単独に進めていく。

アジャイル型開発とは、仕様設計の変更が当然あるという前提に立って、初めから厳密な使用は決めずに大まかな仕様で細かい反復開発を行い、小単位での実装、設計、テストを繰り返し、徐々に開発と進めていくものだ。

アジャイル型開発は、短納期が求められることでニーズが高まってきた手法だ。ビジネスにおいては何が当たるのか外れるのか明確でなくなっている。むしろ試行錯誤を行うことでより多くのビジネスを手掛けて、外れからは撤退し、当たりを探し、深く切り込んでいくことが必要と言える。だからこそビジネスには迅速性が必要と言えるのだ。

[教訓]

〇失敗を計画に織り込んでおけ。

〇数多くの試行錯誤が必要だから、完璧よりも迅速性を重んじろ。

〇ソフトウェア開発のアジャイル型開発の発想を他のビジネスも取り入れよ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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