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ビジネス成功の必要条件

孫子に学ぶ、「一に曰く道、二に曰く天、三に曰く地、四に曰く将、五の曰く法。道とは民をして上と意を同じくせしむる者なり。故に以てこれを死すべく、以て之と生くべくして危わざるなり。天とは、陰陽、寒暑、時制なり。地とは、遠近、険易、広狭、死生なり。将とは、智、信、仁、勇、厳なり。法とは、曲制、官道、主用なり。凡そ此の五者、将は聞かざる莫きも之を知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。」

(現代語訳)

軍事には、「道」「天」「地」「将」「法」が大切である。「道」は民の気持ちをリーダーの気持ちと同じくさせるあり方。「天」は自然条件。「地」は有利、不利の地形。「将」は将軍の能力で「智」「信」「仁」「勇」「厳」の5つ。「法」は軍を運営するための規則である。これらを知る者は勝ち、知らない者は負ける。

(解説)

ここでの「道」とはリーダーと国民の心が同じ方向を向いているかと言うことを意味している。つまり、経営者と役員やスタッフとの関係で、経営のベクトルが別の方向を向いていては上手くいくものも上手くいかない。きちんと会社の方針を伝えているかということと、そもそも役員やスタッフがあなたに心からついて行きたいと思っているかどうかということもある。示すビジョンと人柄ということだ。魅力的なビジョンでなければついて行きたくもないし、信用できない経営者とは働きたくもない。後者は人柄だ。人柄で言えば、失敗をスタッフの責任にしたり、約束を守らない、大変なことはスタッフの押し付ける、嘘をいう、えこひいきをする、人のプライベートに干渉する、愚痴ばかりを言う、こんな奴にはついて行きたくもないものだ。ここでひと踏ん張りしなければならないときはある。そのときに経営者とスタッフが共に全力を出し切れるか。

「天」は自然条件だが、そのビジネスのタイミングということもあるだろう。さらに「地」は有利な地形かどうか、ビジネスのポジショニングと言い換えることもできる。競争の激しい、あるいは絶対的な勝者のいるマーケットに殴り込みをかけても勝ち目はない。弱者としては、強者と戦う地形を変える、ニッチな市場を狙うなど、工夫が必要になる。

「将」とは、上記の「道」で行ったことと少し被るが、リーダーの資質のことだ、「智」は混乱の状況においても、慌てることなく冷静に意思決定のできる知性を持っているか。「信」は部下から信頼されているか。「仁」はスタッフに対して思いやりの心を持っているか、サービス残業などさせてはいないか、スタッフに係る業務の負荷やストレスを見逃していないか。「勇」とは競合相手を畏れていたり、あるいは自ら勇猛果敢に営業を行っているか。「厳」とは私情におぼれず、規律を適用できるか、つまり依怙贔屓をしないでルールを徹底的に順守できるか。自分が規則だと言っているような経営者ではいけない。

「法」とは組織を運営するためのルールがしっかりしているか、公正であるかということ。企業を大きくしたいという経営者であれば、一度は株式上場を考えたこともあるだろう。上場基準に照らし合わせ、規則をそろえておくことも役に立つ。

[教訓]

〇経営者とスタッフが同じ方法を向いているかを都度問い直そう。

〇ビジネスとはタイミングとポジショニングだ。

〇経営者はスタッフに思いやりをもって接しているか。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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