故に明君・賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出ずる所以の者は、先知なり。先知なる者は、鬼神に取るべからず、事に象るべからず、度に験すべからず。必ず人に取りて、敵の情を知る者なり。
(現代語訳)
聡明な君主、賢明な将軍はひとたび動けば敵に勝ち、抜群の成功を収める。それは彼らが先知しているからである。先知とは鬼神のお告げとか、天界の事象とか、天の巡りと言ったものではない。必ず人の知性によって得られる情報である。
(解説)
聡明な君主や優秀な将軍は、敵に勝ち抜群の成功を収めるが、その秘訣は、事前に敵情を得ているからである。それは、神様のお告げのようなものでなく、人から得られる情報だとしている。占いを完全に否定するつもりはないが、それ以上に、人から得られる情報ほど、貴重なものはないと考えたい。
敵国の情勢は占いではわからない。しかし敵国にいた人物からの情報であれば、その人物が敵国のスパイでない限りは事実と言える。そこで敵国の中でクーデターの気配でもあろうものならば、国が一枚岩ではない証拠だ。その時に一気に攻め込めば、勝利の可能性は高まる。
疫病が発生していたとしたら、その直後に攻め込むのは厳しい。兵隊がその国に入って伝染病にかかる可能性がある。疫病は多くの国民を死に追いやるであろうから、国力が減退する。時を見て攻め込めば、敵の兵隊の数がそろわないうちに、圧勝することができる。
現代社会では、ネットの情報が拡散し、有象無象の情報がある。どの情報が価値があるか、価値がないかということは正直よくわからない。それよりも信頼できる人からの情報の方が、儲けネタがある。信頼できない人からの情報であれば、ネットの情報の方がはるかにましだろう。信頼できない人からの事業ネタは、万三ネタというもので、これは本人が言っていたからその点は間違いがないと思われるが(信頼できない人もまともなことを言うとはこれ如何に)、1万のネタがあるうちに3つくらい当たりがあればいいと言っていた。仮に1日平均1個のネタを聞いて、それを処理していくとしよう。土日もあるが、年間に333.3個のネタを処理できるとする。そうすると10年に1回当たりネタがある計算だ。一体どうやって生活していったらいいのだろう。
信頼できない人からのネタは、仕事にならないネタしかないから、サッサとそのルートを切断しよう。時間の無駄でしかない。信頼できる人通しのネットワークの中で確実に仕事をしていこう。まさに情報は金(宝)なのだ。
[教訓]
〇人から得た情報を重視せよ。但し、その情報が偽情報であるかどうかの確認は怠るな。
〇信頼できる人からの情報を吟味しよう。
〇信頼できない人からの情報はまともな話がなく、時間の無駄だから、そのルートを切断しよう
〇情報は金(宝)。