孫子に学ぶ、「上兵は謀を伐ち、其の次は交を伐ち、其の次は兵を伐ち、其の下は城を攻む。」
(現代語訳)
最上の軍隊とは、敵の謀略を見抜いて、それを未然に打ち破ることであり、その次は敵国と同盟国の外交関係を分断することであり、その次は敵の野戦軍を撃破することであり、最もダメなのは敵の城を攻撃することである。
(解説)
戦わずして勝つのが最善であるから、まずは謀略を見抜いて、敵の戦意を喪失させる。敵国と同盟国の外交関係を分断されれば、援軍が期待できないから降伏する確率が上がる。これでも敵の戦う意思が固いのであれば、戦うしかないが、攻城戦は避けるべき。何故ならば時間と労力がかかるからだ。城の壁を超えるのにどれだけの兵の命が失われるのか。そして時間がかかるために兵量も消耗する。一番負担が大きいから城を攻めてはならないという。ある意味では攻城戦は最後の手段ということなのだ。
これをビジネスに置き換えて考えてみよう。競合企業の特許出願を見ていると、その企業が次にどんな新製品を出すかどうか、想像が付く場合がある。そのときにはその新製品に対抗するために、その新製品の類似品を先んじて発表して、事前にマーケットを抑えてしまう。つまり新製品を販売するという相手の戦略を挫く。
次に交わりを立つということは、その商品を販売すると思われる家電量販店に、自社の類似製品の販売インセンティブを高めて、その類似製品を売りづらくする。
それでも阻止できない場合には、全面的に戦うしかなくなる。そうなれば広告宣伝費をかける等、自社製品の認知度を高めなければならなくなってくる。〇〇であればうちの製品と一般消費者に思わせるのだ。
攻城戦とは、お客の囲い込みをされてしまった場合の、最後の手段である。そのお客を自社製品に引き付けるために、乗り換えキャンペーンをして、安くリプレイスしやすいようにする。あるいは魅力的な特典を用意する。いずれにしても、攻城戦であるから、コストも時間もかかることになる。争いを回避するためには、上手く共存共栄関係ができることを望むしかない。
[教訓]
〇他社新製品の販売動向を抑えて、新発売キャンペーンを可能な限り無効化せよ。
〇家電量販店に自社類似商品の販売インセンティブを高めるなど、売りづらくせよ。
〇相手の顧客を奪うのは最終手段である。顧客をこちらにとどめるためのキャンペーンを展開せよ。