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兵力の差が、戦力の決定的な差でないことを教えてやる

兵は多きを益ありとするに非なり。惟だ武進すること無く、以て力を併せて、敵を料るに足らば、人を取らんのみ。

(現代語訳)

戦争は、兵士の数が多ければ多いほどよいというものではない。ただ猛進することなく、味方の戦力を集中し、敵の力量を把握できれば、敵を攻め取ることができる。

(解説)

少ない兵力で大きな兵力を打ち破ったことは歴史上少なくない。日本でも以下の戦いがある。日本三大奇襲と呼ばれている。

  • 河越城の戦い(1546年10月31日)

北条氏康8,000人 対 上杉憲政、上杉朝定、古川公方80,000人

北条勢の勝利、上杉朝定の討死、古河公方の北条家への降伏・周辺大名の弱体化

  • 厳島の戦い (1555年 10月16日)

毛利元就4,000~5,000人 対 陶晴賢20,000~30,000人

結果 : 毛利勢の勝利、陶晴賢の討死・大内氏の弱体化

  • 桶狭間の戦い (1560年 6月5日)

織田信長 3,000~5,000人 対 今川義元 25,000~45,000人

結果 : 織田信長の勝利、今川義元の討死・今川氏の弱体化

これ以外にもあるのだが、孫子も言う通り、兵力で勝っているからと言って、それだけで勝利に結びついているわけではなく、数が多いという理由だけで攻撃を仕掛ければ、逆に足をすくわれることもある。当然、的確な敵情判断を行うことで敵に勝る圧倒的な兵力を集中すれば、勝てるということも言っている。

これらは現代社会にも当てはまる。まともにぶつかれば大企業と中小企業であれば、物的資源や人的資源、資本力に勝る大企業に叶うわけがないが、戦うフィールドを若干ずらす、大企業では収益性の取りづらいニッチ市場を目指す、あるいは大企業の人員では経験が乏しそうな分野を狙う等、戦いようはある。そして勝てる方法があるのだ。

数で負けているからと言って、戦わない方がもったいない。確実に蒔けると決まったわけではないのだから。

[教訓]

〇数字だけでは勝ち負けを判断できない。

〇数が多いから絶対に勝てるわけでもなく、数が少ないから絶対に負けるわけではない。

〇数が少なくても質が高いかもしれない。戦略が優れているかもしれない。数の大小だけであきらめてはならない。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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