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全ては臨機応変に対処せよ

それ草木の叢集せるは、利。遊逸をもってす。重塞せる山林は、利。不意をもってす。林を前にして隠るるなきは、利。潜伏をもってす。少をもって衆を撃つは、利。日の莫るるをもってす。衆をもって寡を撃つは、利。清晨をもってす。彊弩長兵は、利。捷次をもってす。淵を踰え水を隔て、風大にして暗昧なるは、利。前を摶ち後を撃つをもってす。

(現代語訳)
その時々の状況に応じた戦い方をせよ。
(1) 草木の密集地帯は遊撃戦に適している。
(2) 鬱蒼たる密林地帯は奇襲攻撃に適している。
(3) 全面に林があってその間に遮蔽物がない場合は塹壕戦に適している。
(4) 小部隊で大部隊を攻撃するときは日暮れが適している。
(5) 大部隊で小部隊を攻撃するときは夜明けが適している。
(6) 武器弾薬が十分なときは連戦即決に適している。
(7) 河を隔てて退陣し、しかも風が吹き荒れて見通しが悪いときは、前陣と後尾を挟撃するに適している。

(解説)
組織が臨機応変に対応する能力を高めるためにはどのようにしたらよいのであろうか。そのためには、「リスク感度が高く、臨機応変かつ自立的に動く人材」をどのように育成するかである。近年はより市場予測が難しくなっている。そのような予測困難な市場に対して、仮説を前もって立て、リスクを取りながら、迅速、適時、自律的に商品を企画・開発してマーケットを創造できるスキルを高めていかなければならない。以下、スキル面についてポイントを見ておこう。

(a) 失敗は成功の母
ビジネスにおいては、失敗から学ぶ重要性を知らなければならない。失敗やミスが減点になるような企業文化では、これからの時代に生き残ってはいけない。リスク感度の高い人材とはリスクを察知して行動を起こさないのではなく、失敗してもそれを活かせる人材だと言える。失敗をプラスに変えて成長できると考え、失敗が成功の母ととらえるのだ。

(b) フィードバック
失敗を失敗のままとどめていたのでは困る。あくまでもその後、振り返りや事後検証を必要とし、組織にフィードバックするシステムをつくらなければならない。それは継続的な業務改善活動である。失敗は何をしたら起きたか、本来はどうすべきだったか、今後どうすればいいかを見える化する。失敗を見逃さず振り返り、事後検証をし、その取り組みを評価する。リスクを顕在化する取り組みを良しとする企業文化が必要である。そこに判断ミスがあったか、意思決定に躊躇があったか、上位層の指示が悪かったか等を検証しよう。

(c) 想定外の想定
市場環境の複雑化により危機的状況に遭遇する確率は格段に上がっていると言ってよい。ここでありえないと思う厳しい状況下を想定する、つまりストレスシナリオを考えてみて、そのシナリオの中で各人が何を考え、どのような情報を獲得し、誰にどんな指示を出し、先の展開をどう読むのかをシミュレーションしてみよう。

今後、VR(Virtual Reality)やAI(Artificial Intelligence)が進めばありとあらゆるリスクしなりに備えたシミュレーションが組めるようになる。以上のような方法で参加者の対応能力を強化し、組織の臨機応変力を高めていくと良い。キーワードは各個人の自律化にある。

[教訓]
〇臨機応変に対応できる組織は、まずそのような人材育成にかかっている。
〇組織の臨機応変力は、各個人の自律化にある。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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