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サプライズは究極のマーケティング

それ必勝の術、合変の計は、機に在り。智者にあらざれば、敦からよく機を見て作さんや。機を見るの道は、不意よりも先になるはなし。故に猛獣険を失わば、童子戟を持ちてこれを追う。蜂蠆毒を発し、壮夫徬徨として色を失うは、その禍図らざるに出で、変則慮るにあらざるをもてなり。

(現代語訳)
敵の出方に対応して必勝の局面を作る。これは一にかかってチャンスを捉えられるかどうかにかかっている。智者というのはこのチャンスの捉え方がうまい。チャンスを捉えるには、まず敵の不意を突くことである。猛獣も山から出てくれば、刀を手にした子供にでも追いかけまわれることがある。これに対して、蜂やさそりのような小さな虫でも、毒針で刺すことによって、大の男を慌てさせることができる。それは素早く相手の不意を突くからである。

(解説)
マーケティングは、いい意味で顧客を裏切らなければならない。顧客を驚かせるのである。売れる商品には、購入前の驚き、購入後に顧客が期待していた以上の驚き、あるいは顧客が期待していなかった驚きが必要である。

いい商品を作っただけでは、その商品は売れない。そしていくら顧客ニーズに合致していたとしても、その他の商品と比較して差別化されていなければ売れない。そしてリピーターになるからには、そこにサプライズがあるからなのだ。あるいは提供価格以上の付加価値があることになる。

そうして、サプライズがある商品やサービスは、SNSでも拡散能力が高い。こんな面白いこと知ってるぞという自分を自慢がしたいために、SNSで拡散するのだ。決してお客様がお店のためを思って拡散しているわけではない。

もはやモノにあふれ、競合商品はいくらでもある。こんなときには価格以外で客の注目を集めるためには、意外性や奇抜性をもったアイデアを提供していく必要があるのだ。まずは販売前にはお客の記憶に残らなければならない。そのために、ゲリラ・マーケティングという普通には取らない手段での広告戦略がある。

一つ例を挙げると、毎年クリスマスに、ユニークなサプライズ企画を実施することで知られる、カナダのLCC(格安航空会社)ウェストジェット航空があり、2015年は「24時間で1万2000件の小さな奇跡を起こす」ことをテーマに掲げ、ロンドン、ニューヨーク、バンクーバー、ハワイ、ジャマイカなど19地点において、一斉にサプライズを仕掛けていった。

おもちゃ、クリスマスディナー、温かい毛布、紅茶等プレゼントはもちろん、買い物のお手伝い等の体験も含め、サプライズの内容はであった。世界各地でサンタに扮した社員がサプライズを仕掛けていき、本社において、成功したサプライズの数がリアルタイムにカウントされていった。

最終的に実行されたサプライズは、目標を大幅に上回る3万1793件となり、ウェストジェットのブランドを効果的に印象付けたと言われている。

[教訓]
〇お客様の不意を突け。サプライズを与えよ。
〇売れる商品には、購入前の驚き、購入後に顧客が期待していた以上の驚き、あるいは顧客が期待していなかった驚きが必要である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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