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命令は的確かつ明瞭に

呉起曰く、「鼓鼙金鐸は耳を威すゆえん、旌幟は目を威すゆえん、禁令刑罰は心を威すゆrんなり。耳は声をもって威す。清ならざるべからず。目は容をもって威す。明ならざるべからず。心は刑をもって威す。厳ならざるべからず。三者たたずば、士、怠るべきなり」。故に曰く、「将の麾くところ、心移らざるなし。将の刺すところ、前み死せざるはなし」。

(現代語訳)
呉起が次のように語っている。
「合図の鳴り物は耳を刺激して命令に従わせる手段であり、旗や幟は目を刺激して命令に従わせる手段であり、禁令や刑罰は心を刺激して命令に従わせる手段である。」

耳を刺激するのは音であるから、鳴り物には澄んだ音を使わなければならない。
目を刺激するのは色であるから、旗や幟には目立つ色を使わなければならない。
心を刺激するのは刑であるから、刑罰は厳しくしなければならない。

この3つを明確に示さなければ、兵卒を思いのまま動かすことができない。それゆえ、名将が指示すれば部下は必ず従って動き、名将が下知すれば部下は死を恐れずに進む。

(解説)
組織は命令で動く。この命令の出し方や、部下の受け取り方で、しっかりした仕事ができるかどうかが決まる。特に的確に指示を出したが問題だ。命令を出したつもりになっているのが良くない。そこで上司は、口頭だけでなく、書面、メール等で指示を的確に伝え、証拠として残しておくのが良い。

誰に対する命令か、具体的に、結果を数字で表現し、期限を設ける。この目的は何か。途中で上司が確認する機会を設ける(これはスタッフとの合意の元、海外のスタッフの場合、途中経過確認は自分を信頼していないのかと思わせることもあるため)。完了時に報告させる。

指示命令を5W3Hで伝えるということも考え方の一つだ。
(a) When:いつ
(b) Who: 誰が
(c) Where:どこで
(d) What:何を
(e) Why:なぜ
(f) How to:どのように
(g) How much:いくらで
(h) How many:いくつ

できる限り仕事の目的と意義・使命を明らかにして、部下のやる気を出させるのが先決だ。カネを払っているのだからヤレというだけでは上司として失格な態度である。

命令を出すときには口頭で済まれられる場合もあるだろう。これは易しく、短時間でできる仕事にとどめたい。書面かメールでということが(本来ならば)大半だろうが、生ごとが正確性を要し、数字に関係があるとき、客観的資料として必要なとき、仕事が複雑で各部門に関連しているとき等は、命令内容を証拠として残すようにしたい。

命令内容を証拠として残すだけでなく、上司の方でも内容を整理し、明確になり、命令の順序を首尾一貫させる等のメリットがある。

[教訓]
〇命令は的確に行え。その際に簡単で短時間でできる仕事以外は、しっかりと書面・メールにて残しておくこと。
〇書面やメールに残しておけば、言った言わないの問題が生じないことの他に、命令した方が情報を整理して、的確に伝えることができるようになる。
〇できる限り、仕事の目的も伝えておくとよい。部下の創造性により、よりよい成果物が得られる可能性が高まる。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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